中国の学校で行われた「採血を伴う健康診断」が、今、大きな恐怖と混乱を生んでいます。保護者の多くは事前の説明を受けないまま採血を求められ、怒りと不信から子どもを集団で欠席させています。「臓器の行方は?」「なぜ説明なしに採血を?」といった疑念が広がり、SNS上では連日大炎上しています。保護者がここまで反発する理由とは何なのでしょうか。

 ある中国のネットユーザーは「昨日、学校が健康診断で採血すると知らせてきて、今日はクラス全員が欠席した」と明かしました。ネット上に流れたチャットグループの画像には、保護者たちが担任の侯先生に相次いで欠席連絡を送り、「子どもが発熱した」「体調が悪い」などと伝える様子が映っています。

 湖北省天門市のある幼稚園では、張先生が保護者に通知を送り、9月25日に地域の公的診療所の医療スタッフが園に来て健康診断を行うと説明しました。検査項目には体重測定、視力、口腔チェックに加えて血液検査が含まれていました。しかし保護者たちは次々と返信し、「うちの子は健康診断を受けない」「採血は拒否」「採血を伴う検査は一切受けない」と拒否の姿勢を示しました。

 別の「2025秋・五年3組」というWeChatグループでも、ある保護者が採血検査に強く抗議していました。「学校は何をするつもりなんだ。教育に専念せず、なぜ採血をするのか?今度は誰の臓器と適合させるつもりなんだ。子どもは私の命だ。欲しいなら、あなたたちが命を差し出せ!」

 11月6日には、広州市海珠区にある私立小学校に通う小学一年生の保護者が「学校で突然採血されたが、事前に何の通知もなかった」として『江南都市報』の記者に明かしました。

 記者が学校側の関係者に確認したところ、その責任者は事実を認めました。そして今回の採血は、海珠区教育局の統一指示に基づき、一年生の入学時に実施される通常の健康診断の一つであり、学校単独の判断ではないと説明しました。なぜ事前に保護者へ知らせなかったのかについては、「一部のクラスで担任の連絡が行き届かず、通知が遅れたため保護者に周知されなかった」と認め、学校として謝罪しました。今後は通知手順を厳格化し、健康診断などを行う際には、事前に書面通知や「保護者向け同意書」を確実に配布すると約束しました。

 しかし保護者側は強く反発し、「事前に通知されていたとしても、絶対に子どもを採血に参加させなかった」と口を揃えています。多くの保護者が学校から届いた「同意書」をネット上に投稿しましたが、全員が不同意の意思を示していました。ある保護者は「個人情報は少しでも甘く見てはダメだ。学校が採血して健康データを集めるなんて、万一漏れたらどうするんだ。拒否する保護者は賢明だ」とコメントしています。

 また、ある保護者はスクリーンショットを公開し、自分の子どもが採血に協力しなかったところ、教師から電話で理由を問いただされたと明かしました。教師は「今回は学校全体で健康診断を行ったのだが、採血の際にあなたのお子さんが協力しなかった」と説明し、すると保護者が「ええ、そう教えた」と答えました。教師が「どうしてですか」と尋ねると、保護者は次のように述べました。

 「うちの子はとても健康だ。学校は通常の健康診断だけしてくれれば十分で、採血の必要はない。本当に採血が必要だというのなら、事前に保護者へ知らせれば、私たちが子どもを連れて正規の病院で検査を受けさせる。その結果を学校に提出する。だから採血は学校にお願いする必要はない。まるで子どもの健康をすごく気にかけているように振る舞うのはやめてください。学校は病院ではないのだから、教育をしっかりやればいいのだ」

 また、一部の保護者は「学校が子どもに採血することは違法ではないのか」と疑問を持ち、弁護士に相談しました。弁護士は「子どもには民事行為能力がなく、親が法定後見人だ。採血を含む健康診断について、親には知る権利と選ぶ権利がある」と回答しました。

 中国では未成年者の失踪事件が後を絶たず、発見された時にはすでに殺害されており、臓器が消えているというケースがたびたび報じられています。また、未成年者が治療を受けた際に臓器を切除されるといった事例も時折伝えられています。

 2012年には、陝西省の女性・高静さんが職場の健康診断で、左の腎臓が欠損していることを偶然知らされました。しかし彼女には腎臓の手術を受けたことがありません。家族は、彼女が17歳の時に交通事故で脾臓を摘出した手術を疑いました。当時の病歴には、手術前後の超音波検査で「両腎に異常なし」と記録されており、その後も他の手術を受けていないことから、家族はその手術で腎臓が切除された可能性を考えました。

 家族が病院に問い合わせたところ、執刀医は面会を拒否し、病院側は腎臓の切除を否定し「手術に異常はなかった」と主張しました。しかし司法鑑定では麻酔記録に矛盾が見つかりました。病歴には「局所麻酔」と書かれている一方、麻酔記録には「全身麻酔」と記載されていたのです。さらに、高静さんが手術室に入ってから実際に手術が始まるまで約2時間の空白があり、その過程にも疑問が残りました。5か月後、鑑定機関は「病院側の手術には過失があり、左腎欠損が手術と無関係とは言い切れない」と結論づけました。

 不利な鑑定が出ると、病院側は態度を一転させ、「先天的に腎臓が欠損していた」「腎臓が本来と違う位置にあった可能性がある」などとさまざまな推測を持ち出しました。しかしいずれも当時の病歴や法医学的意見によって否定されました。その後、双方は平行線をたどり、最終的に病院側は約520万円(26万元)での私的な和解を提示しました。高静さん一家は心身の疲弊と治療費の必要から、やむなくこの提案を受け入れましたが、腎臓がどこへ行ったのかは今も謎のままです。

 『紅星新聞』の報道によると、2023年10月、山東省菏沢市の10歳の男児・烨くんは、不意の衝突事故の後に腹痛を訴え、病院を受診しました。検査の結果「腹腔内に腫瘍がある」と告げられ、手術を受けることになりましたが、その後、複数の臓器が切除されていたことが分かりました。手術以降、彼は正常な食事や水分補給ができなくなり、長期間の静脈注射で栄養を補給しなければ生命を維持できない状態となりました。家族はこの2年間、真相究明を求め続けていますが、いまだに事実は明らかになっていません。

 この出来事は最近になって再び大きな議論を呼び、ネット上では「男児の臓器が売られたのではないか」「病院が人体実験をしていたのではないか」といった疑念が噴出しています。また、「中国共産党にとって国民はニラのように扱われ、好き勝手に搾取されている。臓器を売って利益を得るなど、人道にもとる行為だ」と強く非難する声も上がっています。

(翻訳・藍彧)