「白紙革命」から3年を迎える今、中国各地では再び張り詰めたような空気が漂っています。最近、上海を旅行していた男性が外灘で記念撮影をする為、バッグから旗を取り出した瞬間、私服警察が突然駆け寄り、旗を奪い取り、「調査協力」を求めるという出来事が起こりました。
このトラブルが発生したのは11月24日です。中国一周のバイク旅を計画していた男性は、上海到着後、外灘の和平飯店前で記念写真を撮ろうとしました。しかし、バックから旗を取り出した瞬間、2人の私服警察が勢いよく近づき、そのまま旗を奪っていきました。
映像には、警察が旗の内容を確認した瞬間、はっきりと戸惑った表情を見せる様子が記録されています。その旗には当局が警戒するような反体制的なスローガンは一切なく、ただ一首の詩が書かれていただけでした。それにもかかわらず、警察は「これは駄目です。しまってください」と告げ、男性はさらに調査への協力を求められたのち、ようやく解放されました。
男性は後に映像の中で、「私服警察は自分を陳情する人だと勘違いしたようだ。旗が詩だと分かってから釈放された」と語っています。
翌25日の夜、この旗に書かれた詩が抖音に投稿されると、「白紙革命から3年経っても、まだこれほど怯えているのか」といった批判のコメントが寄せられました。映像が海外でも拡散するにつれ、さまざまな議論が巻き起こりました。
「風声鶴唳そのもの。まさに末期の王朝の光景だ」「圧力鍋の蓋はさらに強く押さえつけられている」「白紙革命から3年、恐れているのは市民ではなく当局だ」「将来を最も恐れているのは庶民ではなく中共だ」「彼の旗は白紙じゃなかっただけまだ良かった」など、皮肉を込めたコメントも少なくありません。
さらに、この様な声も上がりました。
「中国は本当に『安全』だ。地図を広げただけで取り押さえられかねない」という皮肉や、「これだけ費用をかけて『安定』を保とうとするのは、内部が相当弱っている証拠だ。経済が崩れている中での治安維持費は天文学的な金額だ。中共が自滅するのが来年か再来年か、それだけが問題だ」
国内ユーザーからの投稿も続きました。
「朝はこの動画が抖音で見られたのに、もう削除された」「国内ではもう再生できない」「広州も同じ。私服警察と協力者だらけで、公園の入口にも巡回がいる」「外灘にはもう行きたくない。あの場所は“あの人”とその取り巻きたちに完全に壊されてしまった」
実際、外灘ではこうした「過剰反応」による誤認逮捕のようなケースが以前も起きています。今年8月22日には、外灘でアイスキャンディーを売っていた露天商が「爆弾犯」だと誤解され連行される騒ぎがありました。「今の外灘では、誰が観光客で誰が私服警察なのか全く分からない」といった声も聞かれます。
「白紙革命」は、2022年11月下旬から12月初旬にかけて中国各地に広がりました。大規模なゼロコロナ抗議活動です。言論が封じられた状況下で、市民たちは白紙を掲げて不満を示しました。この動きは11月26日の南京伝媒学院での抗議から始まり、瞬く間に全国へ広がりました。
発端となったのは、同年11月24日に新疆ウルムチ市天山区の住宅で起きた火災です。封鎖措置によって救助が遅れ、10人が死亡、9人が負傷しました。翌25日にはウルムチで大規模な抗議が勃発しました。
26日以降、白紙革命は一気に拡大し、少なくとも21の省と海外にも波及しました。南京や上海を皮切りに、北京、広州、福州といった大都市、市民、そして全国100近い大学の学生たちが次々と抗議に加わりました。
抗議者たちはゼロコロナ政策への反対だけでなく、社会に根強く残る不合理な問題の解消を求めました。最終的に、この一連の抗議が当局に大きな譲歩を迫り、3年にわたって続いたゼロコロナ政策は終結しました。
(翻訳・吉原木子)
