(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 ある時、弟子は「生きるのがとても苦しい」と感じ、非常に悩んでいた。

 師匠はそんな弟子を見晴らしの良い広い場所に連れて行き「見上げてみなさい。何が見えますか?」と尋ねた。

 弟子は「空です」と答えた。すると師匠は「空は広いでしょう!? だが片方の手のひらだけで、空を覆ってしまうことができるのですよ」と言った。

 弟子はそれを信じられなかった。すると師匠は片方の手のひらで弟子の両目を覆い、「今、あなたは空が見えますか?」と弟子に尋ねた。

 続けて、師匠は話題を転じ、「生活の中の、小さな苦痛、小さな悩み、小さな挫折も、見た目は手のひらのように、とても小さい。しかし、心の中に留め置いて解放することが出来ず、いつも近くから見ていると、この手のひらのようにあなたの人生の青空全体を隠してします。すると、あなたは人生の太陽も、青空も、白い雲も、その美しい朝焼けも、見逃してしまいます」と話した。

 弟子はついに自分の苦しみの根源を悟った。

(翻訳・柳生和樹)