上海のブロガー「在下刀哥(ザイシァ・ダオガー)」は8月23日に投稿した動画で、こう語りました。月曜日の午後6時に虹口区の北外灘(ベイワイタン)を歩いてみたところ、上海の中心部であるにもかかわらず道路は閑散としており、商店のほとんどが閉まっていて、上海の内環はほとんど人がいなくなっていたというのです。
北外灘は総面積およそ4平方キロメートル、つまり、東京ドームおよそ86個分に相当し、上海の「黄金の三角地帯」の重要な一角を占めています。かつては賑やかで生活の活気に満ちていましたが、現在は住民が立ち退きで引越ししたため、ひっそりと静まり返っているのです。
上海内環の空洞化
「北外灘の長陽路にある商業エリア、なんだか妙な感じだ。ヨガスタジオに数人いるだけで、他の店舗は全部閉まっていた」と、このブロガーは嘆きました。「こんな豪華な内装で、こんな大きなショッピングモールの地下1階なのに、中にいるのは出前の配達員だけだ」。
彼がさらにモールの外にある下層広場へ向かうと、そこにも客の姿はなく、出前配達員が休憩しているだけ。「見てくれ、この上にいくつかレストランがあるけど、電気すらついていない」と言いました。
「見渡す限り、このエリアは完全に寂れている。新しく造ったのか、それとも周囲に作りすぎて供給過剰になったのか分からないが、とにかく人がいない。造り自体はとても良く、新しく開業したばかりのようだが、まだテナント募集の段階なのかもしれない。だが、ここは郊外ではなく、内環のど真ん中、城南の北外灘だよ」と彼は語りました。
ブロガーによると、このショッピングモールから出ると、すぐに上海のランドマークである東方明珠タワーが見えるといいます。動画に映し出された園区は閑散としており、そこには数棟のヴィラが立っていました。「こうしたヴィラは商業用のものだ。これから内環は空洞化する、本当に空洞化だ」と彼は強調しました。
このブロガーが撮影した動画によると、上海の保定路、長陽路、霍山公園(かくざんこうえん)一帯はすでに立ち退き区域に指定されており、古い住宅は長らく放置され、住民はすでに全員が引っ越していました。
上海内環から人が消えた現状はネット上で大きな議論を呼びました。ある上海のネットユーザーは「市街地の人口はどんどん減っていて、10年後には半分になるだろう」と書き込みました。
また別のユーザーは「恐ろしい限りだ。内環の外灘がこんなふうになってしまうとは」とコメントしました。
上海の繁華街が次々と衰退
2019年末に新型コロナウイルスのパンデミック以来、上海の経済は下り坂を続け、地方からの人口流入も大きく減少しました。その結果、かつてはにぎわっていた歩行者天国やビジネス街の多くが、今ではすっかり寂れた様子を見せています。
上海市川沙鎮(せんさちん)の歩行街も、かつては非常に繁華な商業エリアでした。
これは2020年3月27日にネットユーザーが投稿した動画で、当時の歩行街には大勢の人が押し寄せ、熱気にあふれていました。少なくとも2020年の時点では、この通りはまだ活気ある商業街だったことが分かります。
ところが今年7月初め、あるブロガーが同じ通りを撮影すると、かつての繁華街は閑散としており、多くの店舗が閉店し、通りを歩く人もまばらでした。
歩行街で清掃作業をしていた作業員はブロガーにこう話しました。「ここで何年も働いてきたが、以前は人通りが多く、にぎわっていたのに、今はほとんど人がいなくなり、多くの店が閉店してしまった」
清掃員はまたこう語りました。
「経済全体が不景気なんだ。前はこの歩行街もすごく栄えていて、コロナ前は通りの端から端まで店があり、人も多かった。でもあのコロナの影響に加えて、今の国際環境、米中関係の悪化もあって経済に打撃を受けている。だから人も店もどんどん減ってしまった。結局は社会全体の状況のせいだよ」
上海の地方から来た人口が急減
今年7月初め、上海で飲食店を営む店主がインタビューに応じ、こう語りました。
「今は地下鉄に乗っても、以前のような人混みはなく、昔のようにぎゅうぎゅう詰めになることもなくなった。人が多いのは市中心部の観光通りくらいで、裏道は人通りが少ない。中心部のオフィスビルも空室率が高い。上海の経済成長データは見栄えが良くても、実際に経済が良いかどうかは、庶民の生活感覚で分かる」
上海市内では、誰も乗っていないバスの様子も撮影されています。
動画の中で、ある市民はこう嘆きました。
「これが上海で一番繁華な場所なのか?私たちの田舎町と大して変わらないじゃないか。商店は全部閉まっていて、これから取り壊しでもするのかと思ったが、『浙江中路』の物件には『貸し出し・売り出し』の張り紙があった。取り壊しではなく、家賃が高すぎるせいだろう。これって外灘(ワイタン)だなんて、とても信じられない。まるで田舎じゃないか」
8月21日には、ある上海市民が地方から来た人口の減少について語る動画を投稿しました。
公開データによれば、2020年に上海の地方から来た人口は1048万人でしたが、2024年には983万人となり、わずか4年で64万人も減少しました。2024年だけで見ても、上海の地方から来た人口は約24万人減少しています。十数年前の上海では、地下鉄に乗れば半数以上が各地方の方言を話す若者でしたが、今では地下鉄の中で若い顔がどんどん減り、残っているのは疲れた中高年ばかりです。
かつては上海の物件は1〜2日で借り手がつきましたが、今では契約までに長い時間がかかります。売却となるとさらに難しいのが現状です。
では、なぜこれほど多くの人が上海を離れるのでしょうか。
第一の理由は、仕事の機会が減っていることです。2024年、上海の証券業従事者は2.5%減少しました。金融業でのリストラや、インターネット産業の成長停滞により、多くの人が安定した職を得られず、やむなく上海を去っています。
第二の理由は、若者が貯金できないことです。上海の給与水準は全国トップですが、たとえ月収が40万円に達しても、物価が高すぎて貯金ができません。経済的な圧力で生活は苦しく、上海で家を買って定住するのはさらに困難です。
第三の理由は、就職や生活に対する価値観の変化です。年配世代は「大都市で家を買って定住することが成功だ」と考えてきましたが、今の若者はそうは思いません。「希望の見えない上海にとどまるより、故郷に戻るか、公務員を目指すか、あるいは寝そべり族(働かない生き方を選ぶ若者)を選んだほうがいい」と考える人が増えています。
このブロガーは最後にこう語りました。
「最新のデータによると、上海では60歳以上の高齢者がすでに580万人近くに達し、3人に1人が高齢者だ。もし若者を惹きつけ、引き留めることができなければ、上海はかつての繁栄を再び取り戻せるだろうか?」
(翻訳・藍彧)
