2025年に入り、中国の大学卒業生を取り巻く就職情勢は一段と厳しさを増しています。雲南大学が発表した最新のデータは、社会に大きな衝撃を与えました。2025年卒業予定の大学院生の初回就職決定率はわずか21.21%にとどまり、複数の学部では就職率が1割未満という結果が明らかになったのです。
一方、上海や深センなどの一線都市では、数百万人の求職者が「仕事が見つからない」という現実に直面し、SNS上には不安や困惑、そして無力感を訴える声が相次いで投稿されています。
高学歴でも就職できない
「私は環境工学専攻の卒業生で、成績は常にトップ。国家奨学金も毎年受給し、インターンや社会活動の経験も豊富だ。でも、まともな仕事が1つも見つからない」。これは多くの高学歴卒業生が直面している現実そのものです。彼らは決して準備不足ではなく、能力がないわけでもありません。ただ、現在の就職市場において「高学歴なのにマッチしない」という前例のない困難に直面しているのです。
浙江大学の30歳の博士取得者も、自らの求職経験をネット上で語っています。アリババやNetEase(網易)などの有名企業でインターンを経験したにもかかわらず、年齢の壁により履歴書の段階で落とされることが多いといいます。「学歴が高ければ高いほど就職は難しい。大企業は年齢を理由に避け、小企業は採用をためらう」。彼女によれば、面接官の質問は「なぜうちの会社に来たいのか」に集中しますが、どれだけ丁寧に説明しても返事は来ないとのことです。
この博士はこう振り返ります。「2017年から2020年までは仕事探しが一番楽な時期だった。求人サイトに履歴書を載せるだけで、数十件の面接オファーが届いていた。でも今は、人事担当者に読まれても返事すらもらえない。落差が大きすぎる」
「食べていける仕事すら見つからない」と、ある博士課程の学生はそう嘆いています。彼女のこの言葉は、多くの若者の心情を代弁しています。目の前には経済的なプレッシャーが迫っており、就職活動では否定的な評価が繰り返されています。ある者は学歴が高すぎるために、ある者は年齢が上だから、またある者は「コネ」や「資源」がないという理由で採用されません。
ある新卒者はこう語ります。「仕事が見つからないからといって餓死するわけではない。皿洗いやウェイターをやれば、生きていくことはできる。ただ、それが『まともに暮らす』ということなのか、『尊厳のある生活』なのか、それが問題なのだ」
名門大学の学生と比べ、一般大学の卒業生はさらに厳しい状況に置かれています。安徽省出身で、ネットワークと新メディアを専攻する女子学生は、家族からの期待に応えようと努力してきました。母親に「胸を張ってもらいたい」と思いながら就職活動を続けた彼女でしたが、最終的に受け入れられたのは月給約3000元(約6万円)の仕事だけでした。
「もし大学に進学していなかったら、気楽にカスタマーサービスや店員の仕事を選んでいたと思う。でも大学に進んだせいで、今は諦めきれず、どこにも行き場がない」。彼女はそう語ります。寮の退去期限が迫り、就職先も決まらない中、大学院進学や地元での公務員試験の受験を考え始めています。
同じような選択を迫られている学生は少なくありません。大学院進学、公務員試験、公営機関採用試験に挑戦する者が増えています。
ブロガーの「小麦」は、卒業から2年が経過してもいまだに就職していない友人たちの多くが、この三つの試験に挑戦していると語ります。1年間、あるいは2年間かけて受験しても、正式採用までの道のりは非常に険しいのが現実です。
「銀行の面接には、てっきり50~60人だと思っていたのに、実際には800人も集まっていた。しかも最終的には、全員に『試用通知』が届いた。こんな採用制度、本当に信じられない」と彼女は語りました。
一線都市も「安全地帯」ではない
『統計年鑑』によると、2023年末時点で中国の都市部における雇用者の約84%が民間企業によって支えられていることが示されています。しかし、現在の経済状況の低迷に加え、国際環境の不安定さも重なり、民間企業は人員削減や採用凍結を常態化させています。
「12社に面接を受けたけど、全部が営業職、全部が営業職!」とある求職者は動画内で叫びました。「ここは中国のトップ都市・上海だろう?どうしてまともな仕事が一つもないのか!」
かつて包容性と開放性で知られる一線都市で、多くの若者が「避難所」として頼っていた深センも、もはや例外ではありません。公式統計によると、2024年末の時点で深セン市の住民登録人口は2238万人、実際の居住人口は2300万人を超えていました。しかし、この「人口ボーナス」は雇用の恩恵に結びつくことなく、むしろ人材市場の飽和によって競争はより熾烈になっています。
「深センで1か月間、BOSS直聘アプリを使って就職活動したが、1件も仕事が決まらなかった」と語るのは、配信業界で働いていた若者です。「経験と能力があれば、すぐに仕事に就けると思っていたのに、まったく違っていた」。今では採用企業は、職務経験だけでなく、年齢や性別にも厳しい条件を設けています。「受付の求人には『20〜35歳』と書かれていたのに、私が34歳だと知ったとたん、募集要項が『20〜28歳』に変えられた。本当に心が折れた」
若者たちの希望はどこに?
教育部の発表によると、2025年に卒業を迎える中国の大学生は、前年比43万人増の1222万人に達する見込みで、過去最多を記録するとのことです。この巨大な求職者集団が社会に出ることで、既に逼迫している就職市場にはさらなる圧力が加わることになります。
高い採用基準、低い給与、保障のない現実を前に、ますます多くの若者が「退いて進む」選択をしています。すなわち、臨時の仕事を受け入れたり、サービス業界に転身したり、あるいは思い切って故郷に戻るのです。「大学なんて行かなければよかった」と、ある卒業生のこのため息の裏には、今の雇用環境に対する何百万もの若者の無力感と失望が込められています。
現在の中国社会に必要なのは、単に雇用の「数」を増やすことではありません。より構造的な改善が求められています。さまざまな能力・関心・背景に応じた「質の高い職」を提供することが不可欠です。学歴の『インフレ』、年齢の『差別』、インターンの『搾取』といった目に見えにくい障壁をいかに打破するかが、今日の中国社会が真正面から向き合うべき課題です。
2025年の春はすでに過ぎ去り、夏が近づいています。毎年のように多くの若者がキャンパスを後にしますが、人生の次の一歩を見つけることができません。彼らは決して努力していないわけではなく、不適格なわけでもありません。ただ、時代の流れがあまりにも激しく、彼らに残された余地があまりにも少ないのです。
(翻訳・藍彧)
