現在、中国では複数のウイルスが蔓延し、極めて異例な種類の感染症が同時に流行しています。山西省のある住宅区では深刻な感染症の発生が確認され、すでに14人の子どもが死亡しました。この事態を受け、軍が地域の管理を引き継ぎ、周辺の住宅区も一時的に封鎖されました。

 地元住民の証言によると、2月14日、この住宅区で20人の子どもが発病し、そのうち14人が命を落としました。一部の患者には嘔吐や下痢の症状が見られました。軍の防疫部隊は迅速に現場に入り、外部の人間が立ち入ることを禁止し、住民に対する厳格な管理を開始しました。感染した子どもと大人はそれぞれ隔離病院に搬送されました。周辺の住宅区は10日間の封鎖を経て徐々に解除されました。しかし、文水县では依然として厳格な封鎖措置が行われています。
 
 防疫当局は「汚染されたイチゴ」が感染拡大の原因だと説明し、地元住民の間で恐怖が広がり、誰もイチゴを口にしようとしなくなりました。しかし、事情を知る関係者によると、実際の状況は公式発表よりもはるかに複雑です。ある情報筋は、「住民がH5N1型鳥インフルエンザに感染した場合、当局は真相を国民に公表することはなく、病院の医師ですら患者がH5N1に感染しているかどうかを知らされないことが多い」と指摘しています。H5N1の診断には血清検査が必要ですが、現在のところ検査用の試薬はまだ準備されていないとのことです。地元の疾病管理関係者によると、山西省ではすでに2000人以上がH5N1に感染し、そのうち300人以上が死亡したとされています。
 
 2月17日、中国疾病予防管理センターは「2025年2月健康リスク警告」を発表し、特に注意を要する感染症として、急性呼吸器感染症、インフルエンザ、高病原性鳥インフルエンザ、サル痘などを挙げました。さらに、現在は呼吸器系疾患が流行しやすい時期であり、インフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、マイコプラズマ肺炎などの病原体による感染に注意するよう警告しています。これは、少なくとも8種類のウイルスが中国で同時に広がっていることを意味します。
 
 今回の健康リスク警告では、人間が鳥インフルエンザに感染するリスクについて、これまでになく詳細な説明が加えられました。これまで当局はこの問題を軽視する傾向がありました。しかし、中国疾病予防管理センターは今回、「鳥インフルエンザウイルスが偶発的に人に感染することで引き起こされる急性呼吸器感染症」として明確に説明しました。
 
 感染経路については、ウイルスが死亡した鳥やウイルスを保有する生きた家禽を介して伝播し、人間は感染した鳥類やその分泌物や排泄物に接触したり、ウイルスに汚染された環境にさらされたりすることで感染すると説明されています。
 
 中国疾病予防管理センターは、米国で最近確認されたH5N1型鳥インフルエンザの感染例を取り上げ、中国でも人への感染が見られることを認めました。アメリカのウイルス学専門家であり、元米陸軍研究所のウイルス学研究員である林暁旭博士は、この発表内容から「H5N1だけでなく、H5N6、H7N9、H2N2、H10N3など、複数の亜型ウイルスが関与している可能性がある」と分析しています。
 
 一方で、中国政府は高病原性H5N1型鳥インフルエンザの人間への感染拡大について、いまだに公に語ろうとしません。しかし、実際の感染状況は外部の予想をはるかに超えているようです。さらに、中国各地の個人メディアの配信者が次々と報道している情報によると、山西省、上海市、北京市、広西チワン族自治区、湖北省などの複数の地域で、鳥インフルエンザに感染し死亡した症例が報告されているとのことです。
 
 さらに懸念されるのは、中国政府が昨年からすでに省レベルの医療機関でH5N1型鳥インフルエンザのパンデミックを想定した緊急訓練を実施していたことです。情報筋によると、中国の疾病予防管理システムの専門家たちは「次のパンデミックはH5N1になる可能性が極めて高い」との見解を示し、中国の衛生当局はすでにH5N1を次の世界的な感染症として想定していることが明らかになっています。
 
 しかし、中国政府はH5N1型鳥インフルエンザの人間への感染拡大を公に認めていないだけでなく、家禽に発生したH5N1感染についても、世界動物保健機関(WOAH)への報告を行っていません。それどころか、一般市民に対しても感染状況を公表していません。最近では、中国国内の少なくとも2カ所の大規模養鶏場で、飼育されていた鳥が突然すべて死亡する事態が発生しました。養鶏業者たちは巨額の損失を被り、「昨年から鳥インフルエンザが続いており、もう養鶏業を続けることができない」と悲痛な声を上げています。
 
 このような深刻な感染症の危機に直面しながらも、中国政府は有効な防疫対策を講じるどころか、むしろ感染の実態を隠蔽し、誤った情報を流布しています。その一方で、H5N1型鳥インフルエンザをはじめ、サル痘、インフルエンザ、ノロウイルスなど複数の感染症が同時に拡大しており、中国社会はこれまでにない公衆衛生上の危機にさらされています。
 
 情報が封鎖された環境の中で、一般市民が警戒を怠れば、感染拡大を防ぐことができず、その最大の被害者となる危険性があります。

(翻訳・吉原木子)