ここ数ヶ月、中国各地で感染症の流行が続いており、インターネットに投稿された動画では、病院が患者で溢れかえる様子が映し出されています。多くのネットユーザーは、今回のインフルエンザは新型コロナよりも感染力が強く、家族全員が感染したと報告しています。さらに、身近な人が突然亡くなるケースも見られるとのことです。専門家は、旧正月の帰省ラッシュに伴い、感染拡大のリスクがさらに高まるため、警戒を強めるよう呼びかけています。
感染が急拡大する中国
1月26日、北京のネットユーザー「Hyperloop(ハイパーループ)」氏は、中国のSNS「小紅書(シャオホンシュー)」の投稿のなかで、「北京のインフルエンザは凄まじく、家族全員が寝込んでしまった」と述べました。「最初に母が感染し、2日後に父も発症した。その後、私ものどに違和感を感じ、最初は大したことないと思っていたが、一晩寝たら熱が38.8°Cまで上がった。解熱剤を飲んでも熱は下がらず、翌朝には動くことができたので、回復したと思ったら39.8°Cにまで達していた」と、自身の経過を綴りました。
北京の他のネットユーザーからも、「最近、A型インフルエンザが大流行している」「家族4人が感染し、今のところ子どもだけは無事だ」といったコメントが寄せられています。また、浙江省のネットユーザーは、「私は肺炎とA型インフルエンザを同時に発症し、わずか1日で両肺に感染が広がり、現在入院中だ」と書き込みました。天津市の別のユーザーも「私もA型インフルエンザが原因で肺炎を発症し、高熱が続いている」と述べました。
患者が次々と重症化
あるネットユーザーは、自身の症状について「中耳炎に加え、低熱と悪寒があり、上半身全体が痛む。特に背中の痛みがひどく、仰向けで寝ることも、寝返りを打つこともできない。さらに、鼻水、軽い咳、倦怠感といった症状もある」と述べています。
ネットユーザーの「流雲衛(りゅううんえい)」氏は、1月3日に北京の医師が感染したと報告しました。この医師は最初、倦怠感と発熱、咳があったため軽い風邪だと思っていたが、急激な発熱、頭痛、筋肉痛に見舞われ、検査の結果A型インフルエンザに感染していることが判明しました。
症状は日を追うごとに悪化していき、高熱と激しい咳が続き、倦怠感もひどくなりました。そして、感染から1週間後には体温がさらに上昇し、意識がもうろうとし、咳をするたびに胸に激痛を感じるようになったとのことです。呼吸も苦しくなり、自身の容体が急変していることを察した医師は、なんとか病院へ向かいました。
検査の結果、医師は「ウイルス性肺炎」と診断され、ショック状態の初期症状も見られるほど危険な状態でした。病院内ではこのニュースが瞬く間に広がり、同僚の医師たちが緊急で治療に当たり、幸いにもこの医師は快方に向かったといいます。
「流雲衛」氏は、A型インフルエンザは非常に危険で、発症が急激であり、高熱、頭痛、倦怠感を伴うと述べました。そして、肺炎を併発すればさらに重症化するため、少しでも異常を感じたらすぐに病院で診察を受けるべきだと警鐘を鳴らしました。
短期間で容態悪化、死亡例も多数
中国本土では死亡者が出たとの投稿も相次いでいます。1月15日、あるネットユーザーは動画を投稿し、「今日、会社に行ったら衝撃的なニュースを聞いた。年末に会ったばかりの同僚が、もう亡くなっていた。まだ30代だったのに」と語りました。その同僚は「発症からわずか15日で亡くなった」とのことです。
また、別のネットユーザーも、「12月から現在までに、私の知る限りでも2人がインフルエンザで亡くなった。一人は23歳の女性で、A型インフルエンザによる心筋炎が原因だった。もう一人は59歳の男性で、肺が真っ白になり、おそらくもう亡くなったと思う」とコメントしています。
さらに、1月24日には「近所の3歳の子どもが、A型インフルエンザに感染しわずか3日で亡くなった」との投稿がありました。1月26日には、ある母親が亡くなった3歳半の娘を偲ぶ動画を投稿し、「私の子供である念念(3歳半)ちゃんが亡くなってから今日で27日が経ちました」と涙ながらに語りました。
中国のSNS「TikTok」上に投稿された動画では、2025年1月4日、北京児童病院の点滴室が患者で溢れかえっている様子が映し出されています。夜22時になっても発熱外来は長蛇の列で、まるで旧正月の帰省ラッシュの駅のような混雑ぶりだったといいます。
また、1月16日には北京首都医科大学附属児童病院の各フロアが満員状態となり、ネットユーザーからは「今やスーパーより病院のほうが人が多い」との声が上がっています。
複数のウイルスが同時流行
中国疾病予防管理センター(CDC)の最新データによると、現在中国ではインフルエンザウイルスの陽性率が急上昇しており、そのうち99%以上がA型インフルエンザ(甲流)であると報告されています。
一方、米国疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、過去1カ月余りの間に米国内ではインフルエンザによる入院患者が11万人を超え、すでに5,000人が亡くなっています。しかし、中国疾病予防管理センターは2025年1月の週ごとのインフルエンザ報告にて、死亡者数や入院者数には一切触れませんでした。中国疾病予防管理センターの報告によると、1月第1週には「全国で145件のインフルエンザ様症状の集団発生の報告」があり、続く第2週目には「全国で118件のインフルエンザ様症状の集団発生の報告」があり、第3週には「全国で20件のインフルエンザ様症状の集団発生の報告」があったことしか記載されていません。
これに対しアメリカのウイルス学専門家である林暁旭(りん・ぎょうきょく)氏は、海外の中国語メディア「大紀元」の取材に対し、「中国共産党は入院者数を公表していないが、病院に行く民衆は、病院が患者で溢れ返っていると感じた。このことは余計に社会の不安を煽っている」と指摘しました。
林暁旭氏は、「今年の冬の中国における呼吸器感染症の実態は、国際社会が真剣に注目すべき問題だ。世界的にインフルエンザ患者が急増している中で、中国だけが例外であるはずがない。特に、今年のインフルエンザワクチンの重症化予防効果はわずか38%で、例年よりも低い水準だ」と警鐘を鳴らしました。
さらに、「中国は各種鳥インフルエンザウイルスの亜種の温床となっており、すでに複数の鳥インフルエンザウイルスによる感染例が報告されている。その致死率は非常に高い」と述べました。
林暁旭氏はさらに深刻な問題として、「中国共産党の軍事研究機関が、鳥インフルエンザウイルス(H5N6)に対する機能獲得研究、すなわちウイルスの感染力や毒性を人為的に強化する研究を進めている」と警告しました。
「中国軍の研究者たちは、すでに高病原性で空気感染(エアロゾル感染)するH5N6の変異株を開発した。これは人為的なリスクを極端に高める行為で、大惨事につながる可能性がある。各国政府は、中国共産党に対し、機能獲得研究の即時中止と、動物実験・人体実験の全面禁止を強く要求すべきだ」と強調しました。
欧州のウイルス専門家である董宇紅(とう・うこう)氏も、「効果的な感染拡大防止策の基本は、正確な感染データを用いることだ。もし政府が実際の感染状況を隠蔽すれば、他の対策は全く意味がないものになってしまう」と述べました。
また、中国で感染症流行の監視に携わる業界関係者が1月24日、大紀元に対し内部情報を提供しました。それによると、今回の流行では複数のウイルスが同時に拡散しています。中でも致死性があるのは、主にA型インフルエンザ、新型コロナウイルス(COVID-19)の変異株、そして鳥インフルエンザの3種類のウイルスです。
この業界関係者によると、現在、中国各地では隔離施設の拡張建設が進められており、「多数の人々が病死することもありうる」とのことです。しかし、中国共産党は経済の混乱を引き起こすことや、海外メディアの批判を恐れ、実態を隠蔽しているとのことです。
(翻訳・唐木 衛)