中国のスタンダップ・コメディクラブ「笑果文化(しょうかぶんか)」に所属するトークショータレントである李昊石(り・こくせき)氏は、13日の北京公演で中国共産党(以下、中共)の軍人を侮辱したとして当局から弾圧を受けた。

 李昊石氏は13日の北京公演で、上海に来て「国際的な雰囲気に馴染むため」に近くの山で拾った野良犬を2匹飼い始めた。その2匹の野良犬に出会ったとき、彼らはリスを追いかけてた。李昊石氏その姿を見て、「作風優良,能打勝仗(戦闘に勝利でき、優れた気風をもつ)」という言葉が頭をよぎったと語った。

 習近平総書記は2013年3月に軍部代表団全体会議で、「党の指揮に従い、戦闘に勝利でき、優れた気風をもつ人民軍隊を建設する」ことを強調した。それ以来、「作風優良,能打勝仗」というのは軍のスローガンとなり、中共の軍人を形容する言葉としても使われてきた。

 そのため、李昊石氏のネタが中共の軍人に悪意を持って侮辱したとして、大きな波紋を広げた。北京市文化法執行総隊は15日、関連会社に対して調査を行ったと発表した。

 中国文化観光部は15日、規定に基づく行政処分として、「笑果文化」に1335万元(約2.62億円)以上の罰金を科し、関連会社の北京でのすべての公演活動を無期限に停止すすと発表した。また、李昊石氏も「笑果文化」によって解雇された。

 この事件は、中国社会において文化大革命が再来したかのような騒ぎとなっている。中国西部戦区陸軍の公式アカウントは16日、「このようなトークショーに子弟兵(人民解放軍に対する愛称)たちは非常に怒っている!」と投稿した。新華社通信は「軍に冒犯することは許されず、敬意を持つべきだ」と述べ、この事件が「悪影響をもたらした」と報じた。

 「北京之春」の編集長である陳維健氏は、当局の対応は珍しいことではないとし、「文化大革命の時は、一言も罪の証拠になりかねなかった。現在の社会・政治の雰囲気は文化大革命と似ている」と述べた。

(翻訳・吉原木子)