中国の経済が弱体化する中、中国共産党の上層部は、大手外資系企業をなだめようと努力しています。しかし、専門家は、米中間の緊張が高まる中、中国共産党の宥和策や上層部からの慰留はプラスな効果を得られないと指摘しました。

李強氏などの閣僚、外資系企業の高層と会談

 2023年3月26日、中国国務院が主催する「中国発展ハイレベルフォーラムの2023年年次総会」が北京で開催されました。公式メディアの動画によると、フォーラムにはアップルのティム・クックCEOらなど外資系企業のトップ約70人が出席しました。

 李強総理は3月27日、中国の開放政策を表明し、外資系企業が長年にわたって中国経済に貢献したことに感謝しました。李強氏に加えて、閣僚クラスの党幹部も外資系企業に対して友好的な態度を表明しました。特にアップルのCEOであるティム・クック氏は、中国共産党幹部との会談を頻繁に行っています。

 商務部のウェブサイトによると、王文涛商務部長が23、24、26、27日の4日間で十数人の外資系企業の幹部と面会していることがわかります。

 商務部のほか、国家発展改革委員会、工業情報化部、中国銀行保険監督管理委員会、国家市場監督管理総局、国務院国有資産監督管理委員会などの部門の主要責任者も外資系企業のトップと会談したといいます。

 会談の内容から、中国の管理層は「開放」や「協力」についての発言が多く、外資系企業に引き続き中国での投資やビジネスに期待を示しました。

 2023年の中国政府の工作報告によると、今年の優先事項の一つは、「外資の誘致と活用に一層努力すること」であるといいます。

外資系企業を慰留する理由、専門家の分析

 米国の中国に対する制裁と中共当局「ゼロコロナ」政策の影響で、外資系企業による中国への直接投資は2022年に急激に冷え込み、第1四半期に過去最高だった1020億米ドル(約13.5兆円)から第3四半期には130億米ドル(約1.7兆円)と、ここ20年間で最低水準に落ち込みました。

 米国在住の経済学者である黄大衛氏は3月31日、大紀元に対し、中国政府のデータによると、2022年の外国資本投資は前年同期比で約73%減少したと述べました。

 黄氏は、3年間のパンデミックの影響により、中国経済が打撃を受け、不動産市場が低迷し、地方政府の債務が高騰しているため、中国当局は外資系企業が再び中国に進出し、投資を増やすことを望んでいると考えています。

 台湾中央大学経済系の邱俊栄教授は3月31日、大紀元に対して、中国において雇用創出に外資が非常に重要な役割を果たしており、特にピーク時には、中国の輸出の約半分が外資系企業によって支えられていたと述べました。

 邱教授は、外資撤退後、海外からの注文が激減し、中国経済が成長の勢いを失わせたと指摘しました。中国共産党の指導部もこの問題の深刻さに気づいているからこそ、外資系企業を引き留めようと努力していると述べました。

外国系企業のサプライチェーン移転、中国当局が窮地に陥る

 現在中国に進出している外資系企業が直面している問題は、中国にとどまる価値があるかどうかということであると邱俊荣教授が述べました。中国上層部の最近の発言に対して、邱俊荣教授は、「これらの高官の発言だけで外資系企業を中国に留めることができないはずだ」と指摘しました。具体的には、アップルのサプライチェーンのメーカーはすでにベトナムやインドに工場を構えており、中国に戻ることはほぼ不可能です。つまり、外資系企業が中国での将来に対して非常に悲観的であることを示唆しています。

 外資系企業は、将来起こりうる中国の政策変更により、中国に留まることに大きなリスクがあることを懸念していると黄大衛氏が分析しました。

 政治評論家の李林一氏は次のように述べました。中国共産党にとって最も困っているのは、各部門の幹部が外資系企業を中国に残ってほしいという願望を繰り返し表明する一方で、中国当局の圧力の下でサプライチェーンの中国からの撤退・移転を加速させているようなことをしているのです。

 典型的な例として、アップルのティム・クックCEOが、アップルにとって中国市場は重要だと主張しているにもかかわらず、サプライチェーンをインドに移すことを加速しています。

 李林一氏は、米中間の地政学的な緊張が、外資系企業のサプライチェーンが中国から撤退する原因の一つであることを指摘しました。外資系企業が中国共産党に不満を持つもう一つの重要な理由は、中国共産党の政策の多変性であると述べました。つまり、中国共産党幹部が慰留するために繰り返し好意をし示しているが、それは一時的なものにすぎず、難局を乗り越える際、外資系企業を取り締まらなければならない時には、政策が変わるのです。

(翻訳・藍彧)