ガーリックトースト(hiro, flickr, CC BY 2.0

 トーストは今、ごく普通な食べ物のようですが、地域によって食べ方が違うなど、意外な由来や側面があります。食べ方を変えて、違った美味しさを味わうのもいいかもしれません。今回の文章は、そのトーストの由来と美味しい食べ方を紹介してまいります。

「黄金よりも貴重なパン」

 トーストには興味深い伝説があります。

 15世紀、あるフランス人が「黄金を作れる機械を発明した」と公言し、世間で話題になりました。

 そのニュースは王様の耳にも伝わり、王様は期限内に黄金を作れる機械を完成させるよう命じました。さもなければ命の保証はないと言いました。

 期限が来て、彼は小麦粉、チーズ、機械を持って王様のところへ行きました。彼は小麦粉で練った生地を機械に入れて焼きました。その結果、とても長い黄金色のパンが出来上がりました。

 王様と大臣たちも、ひと目でそれが黄金ではないことが分かり、王様は激怒しました。

 しかし、そのフランス人は長いパンを薄くスライスし、チーズをのせて王様に献上しました。そして王様がそのパンを食べてみると、パンの味が非常に美味しかったため、王様は彼の死罪を免じました。

 パンの食感はソフトで、小麦の香りが漂い、王様はその美味しさを黄金よりも価値があると絶賛しました。王様はさらに、娘の名にちなんでパンを「トースト(toast)」と名付けました。

トーストの発展の歩み

 物語の中の発明者はフランス人ですが、トーストはイギリス人によって手を加えられて発展しました。17世紀の航海時代、イギリスの植民地時代の艦隊が航海に出る時、食料品を置くスペースの節約のため、小麦粉を練った生地は箱に入れられ、積み重ね可能な長いパンに焼かれました。それで、パンは英国艦隊の至るところまで普及し、世界各国の飲食に影響を与えました。

 トーストの名称の由来は王様の娘の名前とは関係がないようです。一枚のパンを焼く機械は「トースター(toaster)」と呼ばれ、パンが焼けると弾ける機械を意味します。そこから、英国のこの長いパンは「トースト」と呼ばれるようになりました。

トーストを食べるイギリス人の習慣

 トーストは英国人の主食であり、朝食のトーストからさまざまな種類のサンドウィッチまで、多くの食べ方があり、それぞれに特徴があります。イギリス人はトーストをカリッと焼き上げ、ジャムやバターを塗ってサクサクの食感を楽しみます。同時に、トーストは多くの古い世代の英国人の記憶にある美味しいデザートでもあります。

 イングリッシュトーストが香ばしく焼いたトーストのシンプルな口当たりを味わうというなら、イングリッシュアフタヌーンティーのピクルスサンドウィッチは、トーストの柔らかさと繊細さを味わうためのものです。きゅうりのピクルスをごく薄くスライスし、数枚重ねてクリームの塗ったトーストに挟み、半分にカットすると、美しい切り口が現れます。このようなサンドウィッチは味だけでなく、見た目からも楽しむことができます。

各国のトーストの食べ方

 イギリスの植民地時代の影響を受け、マレーシア人はイギリスのトーストと地元の食材を組み合わせることで、トーストの食べ方を発展させました。ココナッツミルク、パンダンリーフなどの地元の食材を使用して、魅力的なカヤソースやパンダンカヤソースを作り出し、それをサクサクと焼きあがったトーストに塗り、塩バターを加えれば、尽きることなく美味を堪能できます。

 BLTサンドウィッチは日本の食卓にもよく登場します。Bがベーコン(Bacon)、Lがレタス(Lettuce)、Tがトマト(Tomato)で、イギリスやアメリカで普及したサンドウィッチの一つです。本格的なBLTサンドの作り方はとても簡単です。カリカリに焼き上がったベーコン、次にみずみずしいレタス、最後に赤くてかわいいトマトを順番に2枚のトーストの間に挟み、最後に甘めのマヨネーズをかけます。シンプルな食材を使っていますが、その味にバランスが取れ、まとまりがありとても美味しいです。

BLTサンドイッチのセット(Evelyn-rose, CC0, via Wikimedia Commons)

  アボガドはサンドウィッチの具材として人気があります。その理由の一つは、アボガドは代謝を助け、食べれば食べるほど痩せる脂肪と言われる成分が含まれているという健康面での要因があります。もう一つの理由は、アボガドの食感はきめ細かくて柔らかく、トーストにそのまま広げたり、他の材料と組み合わせてスプレッドを作ったりするのにとても適しており、サンドウィッチの口当たりを滑らかで芳醇なものにしてくれるからです。

 また、バナナは栄養価が高く、ピーナッツバターとの相性も抜群で、ピーナツとバナナのトーストは子供から大人まで人気があります。このトーストのレシピにはこだわりがありません。バナナをそのままトーストに挟んでも、バナナをつぶしてピーナッツバターと混ぜてトーストに塗っても、何でもアリなのです。子供にカロリーを多めに与えたい時や、祝日での集まりなどの前菜としてよく用いられ、食欲をそそり、食べる楽しみを感じさせること間違いなしです。

 以上が各国のトーストの食べ方ですが、余暇に家族で異国の味わいある料理を愉しむことで、ささやかな幸せを感じることができるでしょう。自分にとって一番おいしい一枚を、見つけられるといいですね!

(翻訳・夜香木)