瀋陽市の街頭に9日午前4時すぎから、高速道路から降りてきた警察の白バイに護衛される軍用車の長い車列が現れた。(ツイッター動画のスクリーンショット)

 習近平氏は9月8日に突如、空軍中将の王強氏を上将に昇進させた。前北部戦区司令官の李橋銘氏は定年を迎える前に王強副司令官に交代された。ここ数日、北部戦区司令部の所在地である遼寧省瀋陽市で異変が相次いでおり、複数の個人メディアが瀋陽市で兵変(クーデター)未遂が起きたと推測した。

 中国公式メディアの報道によると、中国共産党中央軍事委員会の上将昇進式は8日、北京の「八一大楼」で行われた。八一大楼は8月1日の建軍節にちなんで命名されたもので、中国共産党の最高軍事機関である「党中央軍事委員会」の執務ビルである。

 習近平中央軍事委員会主席は、上将に昇進した王強氏に、北方戦区司令官の任命書を授与した。しかし、これまで、王強氏が北部戦区司令官に昇進したことも、前任の李橋銘北部戦区司令官が更迭されたことも、公式が報道しなかった。そのため、今回の北部戦区司令官の人事異動は異例といえる。李橋銘氏は、通常の解任手続きを経ずに定年を迎える前に突然更迭され、現在は行方不明だ。

 これまで、中国共産党の5つの戦区司令官はいずれも陸軍上将である。王強氏は空軍上将であり、戦区司令官の中で唯一陸軍出身ではない司令官となっている。

 情報筋によると、習近平氏が今年8月17日、瀋陽市を視察した際、北部戦区司令部を訪問したという。習近平氏は瀋陽市を視察する時に、すでに北部戦区司令官の更迭を決めていた可能性があり、そうでなければ、瀋陽市にも北部戦区にも訪問しかなっただろうという分析があった。

 中国語ウィキペディアの「中国人民解放軍北部戦区」によると、李橋銘氏の任期は今年8月までで、王強氏は今年8月から北部戦区司令官に就任していることが分かる。これは情報筋が明らかにした情報と一致している。

 ところが、9月7日以降、瀋陽市では異常な事件が相次いでいる。

 ネット上の動画では、7日午前2時から瀋陽市於洪区の軍用空港の方角で、戦闘機が飛行する様子が映っている。銃砲の音と複数の大きな爆発音が聞こえ、閃光も伴っていることが分かる。

 遼寧省瀋陽市鉄西区で8日未明も、爆発音が聞こえ、上空には戦闘機が通過する轟音(ごうおん)が絶えなかった。ネットユーザーが投稿した動画によると、8日午前2時ごろ、遼寧省瀋陽市鉄西区上空を通過する戦闘機の轟音と、遠くで大きな爆発音が聞こえ、それに伴って爆発の閃光が確認できたという。

 瀋陽市の街頭に9日午前4時すぎから、高速道路から降りてきた警察の白バイに護衛される軍用車の長い車列が現れた。各軍用車両は幌(ほろ)で厳密に覆われ、その両側には白バイに乗った警察官が付き添っている。しかし、中国の公式メディアは、このことについて一切報道しなかった。

 中国のネットユーザーによると、死刑囚の護送や軍人の遺体搬送の際に、このような光景がよく見られるという。白バイクが軍用車を護送していることを考えると、逮捕されたクーデター軍人や軍人の遺体ではないかと疑われる。

(翻訳・藍彧)