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 スーパーでの商品価格、陳列、キャッチコピー、さらに店内音楽まで、すべて経済学と関係があります。スーパー経営者は経済心理学の研究結果を活用して、消費者の購買意欲を高め、売上を伸ばしています。今回はその一部の事実を見てみましょう。

 1.「左の数字効果」という消費者の心理を活用

 スーパーやネットショップで買い物をする時、1000円の商品より999円の商品のほうに惹かれると感じた事があるでしょう。経済心理学での分析を見ても、消費者が「1000円」より「999円」の商品を買おうとすることが分かっています。この傾向は心理学では「左の数字効果」と呼ばれています。

 人は一番左に書かれている数字に最も印象を強く受ける傾向があり、この傾向こそ「左の数字効果」なのです。例えば「1000円」と「999円」の表記の場合、1円の差しかないにもかかわらず、消費者から見ると「1000円台」と「1000円以下」という大きな違いがあります。1円だけでもお得感を与え、購買意欲を刺激する手法として古くから用いられてきました。

 商品の種類によって最も好まれる価格設定、つまり「心理的価格設定」に違いがありますが、スーパーで販売されている実用品の場合、「299円」のような端数価格の方がより多くの購買意欲を駆り立てる傾向があります。さらに、今の時代ではキャッシュレス化が進み、細かい小銭が増える心配もなくなるため、多くの店が「左の数字効果」を活用しています。

 2.高利益率の商品は手が届きやすい場所に配置

 研究によると、経営者は売れ筋商品の他、利益率の高い商品を消費者の手が届きやすい場所に陳列しています。この「ゴールデンライン」と呼ばれる位置に、売上の9割近くが集中しますので、良い経営者たちは、売りたい商品を「ゴールデンライン」に陳列しています。

 ただし消費者側としては、ゴールデンラインに縛られる必要はありません。特にこだわりがなければ、少しつま先立ちをするか、腰をかがめると、より多くの良質で手頃の商品を目にすることができるかもしれません。

 3.BGMも購買意欲に影響する

 店内で流れる音楽のスタイルは、消費者の購買意欲に影響を与えることが研究で分かっています。

 例えば、優雅なクラシック音楽は消費者の購買意欲を高めます。叙情的な音楽は、一部の男性消費者の異性のために物を買う意欲を高めることができます。また、軽音楽は、消費者に安価な商品を多く買わせる傾向があります。そして、ロック音楽は、顧客の購買意欲と意志決定のスピードを低下させるようです。

 4.彩光色照明は食材を新鮮に見せる

 スーパーでは、食材をより新鮮に見せるために、食品ごとに異なる色の照明が使われています。例えば、精肉にはやや赤めの照明、パン類には温かみのある黄色い照明、鮮魚には青みがかった色の照明で照らすのが一般的です。

 5.「ハロー効果」でお得な印象を植え付ける

 スーパーには完璧な価格戦略があります。スーパーの宣伝で、「毎日超お得」、「地域最安値」などのキャッチコピーを見かけたことがよくあるでしょう。実は、これは心理学の「ハロー効果」を利用しています。一部の生活必需品だけを安くすることで、このスーパーのすべての商品が安いという印象を与えているのです。

 いかがでしょうか。スーパーに関する5つの面白い事実を紹介しました。お得にお買い物をするのは倹約の一環と言われますので、衝動買いの前に考え直してみるのも良いかもしれませんね。

(翻訳・心静)