2020年11月3日、李克強首相は河南省安陽での視察中(中国政府网より)

 中国共産党(以下、中共)中央政治局常務委員会委員(常務委員)の習近平氏ら7人が14日まで、すでに8日間も公の場に姿を見せていない。李克強首相のみが13日に食糧安全保障に関する書面指示を出し、国民の日常食料と穀物豊作の確保の重要性を強調した。常務委員7人全員が神隠しになっているのは異例である。

 中共公式メディアの報道によると、李克強首相は13日、山東省徳州市で開催された春の農業生産に関する会議で書面の指示を出し、国民の日常食料と穀物豊作を確保することが「極めて重要」であると強調したという。

 李氏は、第20回党大会を迎えるため、食糧の産量を6.5億トン以上に維持し、食料の安全保障を確保する必要があると述べた。

 同報道によると、政治局委員、国務院副総理である胡春華氏が会議に出席し、演説を行った。胡氏は演説で、習氏の「重要講話・指示方針」と李氏の「書面指示の要求」に言及し、「経済社会全体の発展を安定させる」ために、「食糧と重要な農産物の生産・供給」の確保に全力を尽くすよう求めた。

 注目すべきは、李氏が同会議に出席せず、書面による「指示」を出したのみであった。

 外部の観察によると、6日から14日までの8日間、習氏をはじめとする常務委員7人は公の場に姿を見せていなくて、中共の公式メディアも彼らの活動を一切報道していないという。常務委員7人全員の「神隠し」は、異常と見られている。李氏が公式メディアに特別な方式で書面指示を出した目的はただ1つ、食糧安全保障である。

(翻訳・徳永木里子)