通報人穆さん(YouTube動画のスクリーンショット)

 昨年10月に中国吉林省の刑務所から脱走した北朝鮮からの脱北者である朱賢健を捕獲するために、地元の警察が70万元(約1250万円)の報奨金を出した。

 昨年11月28日、朱は地元の通報人が提供した情報により捕まった。しかし、同通報人の最近の投稿によると、朱が捕まった後、一銭ももらえず、逆に警察官に無料のご飯を提供したという。

 同動画では、朱の居場所に関する重要な手がかりを警察官に提供した男性、穆さんは70万元の報酬を一銭も受け取ることが出来ず、地元の公安局に横領されたことを明かした。「共産党を信じるな!」と怒鳴った。

 動画には、穆さんが薪を集めながら、朱の逮捕の経過を撮影している男性に話している様子が映っている。「28日(朱の逮捕の日)、公安局が手がかりを聞きにここに来た。彼はもうここにいないと伝えた。対岸の黒瞎子溝(吉林省豊満区松花湖に位置する)に家があるので、そこにいけば捕まえられる。同日の9時過ぎ(警察官)がボートで対岸に行って、そこで捕まえた」

 撮影者は「それはあなたのお手柄じゃない?報奨金をもらえたか」と尋ねた。穆さんは、「手柄だなんて、共産党はそんなことを認めない、信じるな」と答えた。

 また、報奨金をめぐって省政府までに訴えたと穆さんが撮影者に語った。「(朱は)もう捕まったのだから、誰も私のことを気にするものか。私が警察官に手がかりを提供した上、警察官らに大きい窯でご飯を炊いて、10キロ以上の肉を買って料理してあげた。彼ら(警察官)は全部食べて、缶詰め1箱を持っていったが、一銭ももらえなかった」

 穆さんは、吉林省公安局豊満分局が自分の訴えを上に報告したと撮影者に語った。しかし、「彼らはどのように報告したと思う?書類の最後の署名は私がサインしたが、中の受け取りの名前は私ではなかった。報奨金が出ると、全部彼ら(警察官)に山分けされた、私に分け前があるわけがない。公安分局に全部横領された」

 穆さんは怒って言った。「賞金は全部で70万元だよ、私に2万か3万だけでもくれれば気が済むのに」「捕まらなかった時、吉林市公安局などの関係部門からは、1日に100回以上の電話が掛かってきた。捕まった後、誰が気を配ってくれるのか」「市政府に訴えて、誰も対応してくれない。吉林市公安局に訴えたら、この事件が大きすぎて、処理できないと言われた。入口でさえ入れてもらえなかった」

(翻訳・徳永木里子)