「レキップ」とインタビューの彭帥さん(Truckistan Amb. PosoのTwitterより)

 中国のテニススター、彭帥さんは6日、フランスのスポーツメディア「レキップ」とのインタビューで、自分は監視されていないと主張した。しかし、同メディアが暴露した衝撃的な映像より、彭帥さんがインタビューを受けているとき、少なくとも2人が彼女の周囲にいて、インタビューの一部始終を監視していたことが分かった。

 彭帥さんは6日、中国オリンピック委員会事務室の王侃(ワン・カン)主任の同席で、「レキップ」の記者に会った。彭帥さんは取材に対し、「性的暴行を受けたと訴えたことはない」「投稿は自分で削除した」と強調した。投稿を削除した理由を尋ねると、彭帥さんは「削除したかったからだ」と答えただけで、中国国務院の元副総理である張高麗氏については一言も触れなかった。

 また、なぜ突然、一時的に「人間蒸発」したのかと尋ねたら、「決して蒸発したのではなく、多くの人がメッセージを送ってくるから、こんなに多くのメッセージに単に返信ができなかっただけだ」と彼女は答えた。

 彭帥さんは昨年11月2日にウェイボー(微博、Weibo)に張高麗元中国副首相の性的暴行を暴露する記事を投稿して以来、国際独立メディアの取材を受けたのはこれが初めてだという。

 3つの取材条件と見張り男性

 英紙デイリー・メールによると、今回の彭帥さんの独占取材は、北京の高級ホテルの16階の一室でインタビューするなど制限が多かったという。彭帥さんはインタビューに応じる際に、中国語で答えること、質問を前もって先に目を通すこと、インタビュー記事にいかなる評論をも付け加えないこと、という3つの条件を提示した。

 海外メディアが暴露した写真には、彭帥さんは「中国」とプリントされた真っ赤なジャージを着てソファーに座り、脇の鏡には中国共産党旗がプリントされた半袖の白いTシャツを着て、腕を胸の上で組み、マスクをしている無表情な男性の姿が写っている。

 デイリー・メール紙は、同写真の注釈として「中国のテニススターがインタビューを受けている写真の鏡には、中国共産党員の姿が捉えられている。彼女(彭帥さん)は強姦疑惑は『大きな誤解』だと主張している」と書いた。彭帥さんの今回のインタビューに関連する内容は、信憑性に欠けていることが疑われているようだ。

 「レキップ」紙の編集長は、彭帥さんがインタビューを受けた際、「彼女の発言も行動も自由ではない」と指摘した。また彼は、彭帥さんの答えはすべて「機械的」であり、「行間を細かく読んで、言葉の中から真実を見抜かなければならない。見た目は彼女が自由なように見えるが、真実は言葉も肢体表現も完全に制限されている」と述べた。

 同編集長はさらに、「皆さんは(今回の取材内容を)信じない権利がある。私たちの目的は主に彼女と会って、私たちの支持を伝えることだ」と強調した。

(翻訳・藍彧)