明・文徴明(ぶん ちょうめい)の扇面絵( パブリック・ドメイン)

 折りたたみ扇子は、「摺疊扇」や「聚頭扇」と呼ばれ、折り畳めて広がる事から、「撒扇」とも呼ばれました。 折りたたみ扇子の扇面の材料では紙が最も広く使用されていて、簡単に持ち運べて、いつでも広げて楽しむことができる事から、「袖の中の上品な物」とも呼ばれました。

 古代中国の文芸家や芸術家は、扇子の表面に絵を描いたりするのが好きで、美しく飾り付けたり、感情を表現したり、扇面で才能を表現したり、互いに書画を贈ったりして、古代文士儒生達は生活の中に芸術を取り入れていました。宋王朝の有名な画家範寛(ファン・クアン)や蘇東坡、清朝の有名な画家仇英(チウ・イン)や唐伯虎(タン・ボフ)、清王朝の呉昌碩や石濤(シータオ)、そして現代の徐悲鴻や齊白石(チ・バイシ)など皆、良く扇子に絵を描いていました。画家達は扇面絵で率直な気持ちを表現したり、心をリラックスさせたり、シンプルな自然など多くのものを求めました。それは自己娯楽の最良の形態であるとも言えます。

清・華喦(かじょう)の扇面絵( パブリック・ドメイン)

 扇子は4つの縁を持ち、一般に左右2本の直線と上下2本の弧で構成され、扇面は上が広く下は狭くなっています。扇面に絵を描く場合は、扇面の形状を考慮する必要があります。構図を配置するときは、多くの場合まず扇面に薄い水平線を引きます。ただし、特別な場合には、景色も扇面の円弧に沿ってカーブします。通常、絵が完成した後に詩や画名、署名捺印するはずです。題言は、縦書きの場合は円弧の中心点に向かう斜めの線上に沿って書かれ、横書きの場合は円弧の線に沿って書かれます。扇面の幅は上から下へどんどん狭くなっているので、煩雑さ避けるために、殆どの作品は一行目の文字を多くし、次の行の文字を少なくしています。

 中国の扇面絵は次第に観賞用の芸術作品として発展してきました。扇面に描かれた絵や文字は、人々の目を楽しませて、美的欲求を満たしています。これらは実用性と美的観賞価値を兼ね備えた美しい工芸品です。暑い夏には、ゆっくりと扇面絵の美しさを楽しんだり、又、含まれる意味を味わったり、心を静めて、セミが奏でる音楽と扇子の緩やかな風に包まれながら…

(おわり)

(文・紫翎 / 翻訳・藍彧)