ブリンケン米国務長官は14日、インドネシアで演説(State Department photo by Ron Przysucha/ Public Domain)

 東南アジア訪問中のアンソニー・ブリンケン米国務長官は14日、インドネシアで演説し、バイデン政権が掲げる「自由で開かれた」インド太平洋地域の構想を説明すると同時に、中国共産党(以下、中共)の同地域での行動を非難した。

 ブリンケン氏は、自由で開かれたインド太平洋地域について、「ルールに基づく秩序を守る我々の目標は、一国の成功を妨げることではなく、すべての国が強制や脅迫を受けずに自らの発展の道を選ぶ権利を守り、地域の平和と繁栄につながる権利と合意を守ることだ」と述べた。

 また、南シナ海の仲裁裁判に関する国際仲裁裁判所の全会一致の法的拘束力がある判決を受け入れず、南シナ海の安全保障に脅威を与え、経済的強制を開始したことを挙げ、同氏は中共の横暴な振る舞いを非難した。南シナ海における中共の敵対的行動は、年間3兆米ドル(約342兆円)相当の商取引に脅威を与えていると述べた。

 さらに、演説の中で、中共の脅威に対抗するため、インド太平洋地域の国々と同盟を結びたいというバイデン政権の意向を表明。インド太平洋諸国との連携を深め、外交、軍事、情報などを米国の同盟国やパートナーと緊密に統合し、東南アジア諸国の安全保障上の懸念に対応することを約束した。

 アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)のザック・クーパー上級研究員は、バイデン政権のインド太平洋戦略の成否が、米中間の競争とインド太平洋の情勢に大きな影響を与えると考えている。「中共を敵対国とするのではなく、インド太平洋地域の国々に対して、我々の構想を伝え、その構想を実現したい国々を我々は守り続けると伝えることだ。そして、構想の実現を望まない人たちにも応えていく」

(翻訳・徳永木里子)