李克強が上海に視察に行った時、店でミルクキャンディーを2袋買った(イメージ:ツイッター動画のスクリーンショット)

 中国の李克強首相は22日、同国経済の新たな下押し圧力に対し、上海で地方政府関係者の会議を招集し、「6つの安定(注1)」と「6つの保障(注2)」を引き続き強調した。同時に、国務院は、中小企業への支援強化を求め、地方政府に救済資金の手配を促す文書を発表した。先日、国際通貨基金(IMF)が中国経済に関する年次報告書を発表し、「下押しリスクが高まっている」と指摘した。

 中国中央テレビ(CCTV)によると、李首相は22日、上海で一部の地方政府関係者と経済の新たな下押し圧力について座談した。

 李氏は、中国経済に新たな下押し圧力が現れていると認め、「6つの安定」と「6つの保障」をより強化し、特に「住民雇用の保障、基本的民生の保障、市場主体の保障」が重要であるとの見解を示した。また、地方政府に対し、中小・零細企業の「存続と発展のために有利な環境を作る」よう要請した。

 同日、国務院は、地方政府に中小企業への支援力の強化や救済資金の配布を行うよう求める通知を出した。

 通知では、減税・減免をさらに推進すること、製造業の中小・零細企業は規定に従って今季の一部の税金の支払いを延ばすこと、企業に対する優遇政策の一部が終了した後、その継続政策をタイムリーに打ち出すこと、政策配当金の実施を確保することなどが書かれていた。また、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の流行や洪水、及び原材料の高騰などで、深刻な影響を受けている企業への運転資金の融資支援を強化することなどが挙げられている。

 中国中央銀行、下押し圧力の懸念が高まる中、緩和シグナルを示す

 中国のスーヂョウ・セキュリティーズ(東呉証券股分有限公司)のチーフエコノミストである任澤平氏は22日に発表した文書で、中国経済は下押し圧力に直面しており、中央銀行が19日に発表した「2021年第3四半期の貨幣政策実施に関する報告書」で緩和シグナルを示していると書いた。

 2021年の第2四半期の通貨執行報告に比べて、第3四半期の執行報告は明らかに変化し、特に経済の下押し圧力に対する懸念が著しく高まっている。18日、李克強氏は専門家や企業家を対象とした経済情勢に関する座談会を開催し、中国経済に新たな下押し圧力を認め、「6つの安定」と「6つの保障」を改めて強調した。これは、経済の下押し圧力への政策立案者の懸念が高まっていることを示している。

 国際通貨基金(IMF)が19日に発表した中国経済に関する年次報告書では、感染が再び拡大していることによる不確実性、消費の停滞、電力制限、不動産規制の影響に加え、債務問題、金融リスク、中米デカップリング、労働力減少などの長期的なリスク要因により、「中国経済の下押しリスクが高まっている」と指摘した。

 注1と注2:「6つの安定」と「六つの保障」、「六つの安定」は、雇用の安定、金融の安定、貿易の安定、外資の安定、投資の安定、期待の安定である。「六つの保障」は、住民雇用の保障、基本的民生の保障、市場主体の保障、食糧・エネルギー安全の保障、産業チェーン・サプライチェーン安定の保障、末端の行政運営の保障である。

(翻訳・徳永木里子)