(看中国合成写真)

 女子テニスのダブルス元世界ランク1位の彭帥氏(35)が2日、中国共産党(以下、中共)の幹部であった張高麗前副首相(75)から不倫を強要され、その後、振られたと自身の微博(ウェイボ)で告発した。これを受けて、国際女子テニス協会(WTA)は14日、彭帥さんの件について、徹底的調査を求めた。

 張氏から性行為を強要され、合意の上で不倫関係を持ったと暴露。その投稿は約30分後には削除されたが、同氏の微博アカウントがブロックされ、中国のネット上から削除された。それ以来、彭氏は何日も姿を消している。しかし、投稿のスクリーンショットがインターネット上で拡散し、大きな話題となった。  

 近年、中共高官のスキャンダルはしばしば発生しているが、彭氏が実名で告発したのは今回が初めてである。外部からの分析では、これは中共党内の派閥闘争と関係があるとされている。

 WTAや彭氏を知っている多くのテニス選手は、彼女の現在の安全性について深く懸念している。WTAは声明で「元幹部に対する性的暴行疑惑に関し、完全かつ公正で透明性のある調査を求める。彭帥に関する出来事を深く憂慮している」とし、「彭帥、そして全女性は検閲ではなく、話を聞いてもらう権利がある。彼女の告発は深刻に扱われるべきもの」と中国に検閲をやめることも要求した。

 WTAのスティーヴ・サイモン最高経営責任者は、14日に発表した声明の中で、「女性のための組織である私たちは、設立の原則である平等、機会、尊重を重視している」とし、「彭帥とすべての女性の訴えは、検閲されるのではなく、聴き入れられるべきだ。中共の元指導者の行為に関して、性的暴行があったとする彼女の告発は、最大限の真剣さをもって扱われなくてはならない」「訴え出た彭帥の素晴らしい勇気と強さをたたえる。世界中の女性たちは、不正義を正すために声を上げる勇気を得ている」と表明した。

 サイモン氏は声明の最後に、「私たちは、選手たちの健康と安全を断固として最優先している。正義がなされるために声を上げている」と述べた。

 テニス関係者からも、彭帥さんを心配する声が相次いでいる。

 グランドスラム通算18勝、クリス・エバートさん(66)は「私は彼女を14歳の時から知っています。事態はとても深刻で、皆心配しています。彼女はどこにいるのか?安全なのでしょうか?」と語った。

 中国では、中共がインターネットに対して常に厳しい検閲を行っており、中共高官の私生活に関わる事は特に敏感な話題となっている。彭氏の微博アカウントが中共によってブロックされて以来、「彭帥」、「張高麗」、「副首相」、「テニス」などの検索キーワードも微博にブロックされている。韓国のテレビドラマの名前である「首相と私」などのフレーズも、中共によって封鎖されている。

 中国外務省は、15日の会見で「この件について、把握していないし、外交問題ではない」と述べるにとどめた。

(翻訳・徳永木里子)