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 米国南部と中西部の6つの州で少なくとも18もの竜巻が10日夜に発生した。ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事は11日、死者は100人を超える可能性があるという見方を示している。

 ベシア知事は12日、CNNテレビに対し、報告された死者数は80人を超え、 今後100人以上になるとの認識を示した。

 米ケンタッキー州など南部と中西部で広範囲に発生した竜巻の被害は11日になって拡大し、竜巻によって大きな被害が出た現場では12日も朝から救助活動が続けられているが、冬の寒さの中、大規模な停電が続いており、行方不明者の捜索活動は厳しさを増している。

 ウェブサイト「デイリー・メール」によると、ケンタッキー州、イリノイ州、ミズーリ州、アーカンソー州などでは、10日の夜に竜巻が発生し、その中で1つの竜巻の被害経路は200マイル(約322キロメートル)以上に及んだという。

 竜巻は南部ケンタッキー、アーカンソー、ミシシッピ、テネシー、中西部イリノイ、ミズーリの計6州で報告された。被災が最も深刻だったのはケンタッキー州のメイフィールド市である。同市では、複数の街が竜巻によって完全に破壊され、一帯には粉々になった建物のがれきの山が広がり、車の残骸も目立った。被害の全容把握には至っていない。死傷者の人数から見ると、今回はケンタッキー州では1890年以来最悪の竜巻だと考えられる。

 米メディアによると、ケンタッキー州メイフィールドでは稼働中のろうそく工場が全壊し、複数の従業員が死亡した。イリノイ州エドワーズビルにあるインターネット通販大手アマゾンの倉庫も損壊し、少なくとも6人が死亡、倉庫からは45人が脱出し、1人は空路病院へ搬送されたという。アーカンソー、テネシー、ミズーリの各州でも死者が確認されている。

 地元の東部デラウェア州で演説したバイデン大統領は今回の竜巻が米史上最大級の一つとの認識を示し、「悲劇だ。連邦政府としてできることは何でもする。我々は団結して対処していく」と強調した。

 バイデン氏は11日、ケンタッキー州での非常事態を宣言し、連邦緊急事態管理局(FEMA)や国土安全保障省に救援活動を支援するよう指示した。ホワイトハウスが発表したコミュニケには、「大統領は、竜巻による壊滅的な被害から人々の損失を軽減するために、最も必要としている地域への連邦政府による支援を直ちに行うこと命じた」と書かれた。

 アメリカで相次いで発生した竜巻によって建物が倒壊するなどの大きな被害が出ていることについて、岸田総理大臣は衆議院予算委員会の冒頭「お見舞いを申し上げさせて頂きたい」と述べた。

(翻訳・徳永木里子)