(ツイッター動画のスクリーンショット)

 中国共産党当局は12日、山西省の洪水により15人が死亡、175万人以上が被災し、12万人以上が避難したと発表したが、貯水池の放水による深刻な被害をもたらしたことについて、当局は一切触れなかった。しかし、山西省のネットユーザーはウェイボー(微博、Weibo)で、一つの県(日本の郡に相当)での死亡者数はすでに15人を超えていたと明かした。現在、山西省の多くの被災地は未だに浸水しており、数十万人の被災者が家を失った。

 中国の公式メディアの報道によると、山西省の今回の大雨は11の市76の県(区)に及び、被災者は175万7,100人、死者は15人、行方不明者は3人、緊急避難した人は12万100人、被災した農作物は357万6,900ムー、倒壊した家屋は1万9,500軒、深刻な被害を受けた家屋は1万8,200棟、直接的な経済損失は50億2,900万元(約884億円)に達したという。

 しかし、山西省のネットユーザーは、実際の死者数が公式に発表された数字よりはるかに超えているとウェイボーで明かした。「地元の1つの小さな県だけで、10数人以上の死者が出ており、報道での『死者数』よりも多かった。実際の数字がただの15人のはずはない!?災害の前では、(責任逃れのために)当局であろうと役人であろうと、やはり人でなし」と述べた。

 別の報道によると、山西省当局は10日、5,000万元(約8億7,900万円)の緊急救援金を発行したという。そのうちの2,000万元(約3億5,200万円)は、被災者の緊急避難・再定住、過渡時期の生活支援、被災家屋の復旧・再建、災害で亡くなった者の遺族への弔慰金の支給などが含まれている。

 緊急支援金について、ネットユーザーの計算によると、175万人の被災者に2,000万元の救援金を支給することは、1人平均12元(約200円)にも満たない金額になる。山西省のネットユーザーは「我々山西省人を人間として扱っていないのだ」と激怒している。

 公式メディアや地元メディア、セルフメディアの報道を統合すると、山西省の多くの地域で発生した深刻な洪水は、上流の貯水池から予告なしに突然放水されたことが原因であることが分かった。放水の多くは夜間に密かに行われたため、下流の人々にさらなる被害と災難をもたらしたのである。

 ネットユーザーは、山西省運城市(うんじょうし)の現在の被害状況を空撮で記録した動画を投稿した。洪水が一面に広がり、橋や家屋、畑、車などに大きな被害が出ている。

 「多くの人が家を失った。お年寄り、子供、女性、みんな泣いている」と村人が泣きながら苦情を訴えた。

https://twitter.com/i/status/1447718489305665537

 ある養豚業者は130頭の豚を飼っていたが、今は19頭しか残っていない。もう一つの養豚場では800頭だったが、洪水が引いた後、生き残ったのは2頭だけだった。

 専門家は「山西省や陝西省の高地で発生した洪水は、三門峡貯水池の建設によるものだ。以前のように土砂を正常に排出できなくなり、大量の土砂が積み重なり、今まで数千年間も洪水が発生しなかったところで、今では洪水が発生するようになった」と分析した。

(翻訳・徳永木里子)