英国海軍の「クイーン・エリザベス」空母(Dave Jenkins - InfoGibraltar, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons)

 英空母「クイーン・エリザベス」が7月21、22日にベンガル湾でのインド海軍と合同軍事演習を終え、マレーシアやオランダの海軍と合流してマラッカ海峡で、編隊航行訓練(PASSEX)演習を行った後に、南シナ海に進入した。同時に、中国軍も南シナ海で軍事演習を行うと発表した。同地域では軍事衝突が発生する懸念が高まっている。

 英国政府は7月22日、対中抑制のため、空母「クイーン・エリザベス」が南シナ海を通過するが、台湾海峡を横断しないと発表した。英国防省は「英国は世界の真の大国として、未来の挑戦に応対し、友人と協力して共通の価値観を守り、ルールに基づく国際秩序を維持しながら、明日の課題に立ち向かう」と声明した。

 一方、中国外交部の趙立堅報道官は同日の記者会見で、海洋の問題について、中国の領土主権と海洋権益を守る決意は揺るぎないものであり、関係国との相違点については、引き続き協議や交渉を通じて適切に処理していく意向であると述べた。さらにどのような口実であれ、東シナ海や南シナ海の情勢にいかなる外部勢力が介入することは、同地域の平和と安定に不必要な混乱をもたらすだけであり、同地域の国々の利益にはならないと述べた。

 また、広東省海事局は7月23日と26日にそれぞれ、「人民解放軍は7月26日から28日までの8時〜18時に茂名市(もめいし)付近の海域で実弾射撃訓練を行い、船舶の進入を禁止する」「7月27日18時から29日22時まで南シナ海の川島南東の海域で軍事訓練を行い、往来する船舶は同海域の5海里(約9.26キロメートル)以外を通過する」という航行警報を出した。この3日間の演習は、ちょうど英空母が南シナ海を通過する期間であり、英空母打撃群「クイーン・エリザベス」が必ず通る場所になっている。

(翻訳・徳永木里子)