同じ孤児院のアリーとルビー(Instagram/Ally Cole)

 アメリカバージニア州中部の独立市・リンチバーグに、キリスト教福音主義の私立大学・リバティー大学(Liberty University)があります。メリーランド州在住の2年生のアリー・コール(Ally Cole)さんと、ニュージャージー州在住の新入生のルビー・ウィエルズビキ(Ruby Wierzbicki)さんは、この大学に通う中国系女子大学生です。二人は生い立ちも似ており、幼少期は中国の孤児院で暮らしていたことを、初対面のバス車内での会話で知ることになるのです。

 4月14日、アリーさんはいつも通り学校行きのバスに乗り、ルビーさんの隣座席に座りました。これが始まりでした。初対面ですが、年齢差もない二人の中国系女子が会話を交わし始めました。ごく普通の世間話から自然と身の上話へと進展しました。すると幼少時代は、中国の孤児院で育ったという共通点に親しみをおぼえて、会話は弾みました。

 アリーさんは、自分が中国で生まれ、アメリカの養父母に養女として引き取られ、メリーランド州に来て、養父母と一緒に暮らしていると話したところ、驚いたことに、ルビーさんも同じ境遇でニュージャージー州で暮らしているというのです。

 さらに驚いたのは、二人は同じく済南市出身だった挙句に、同じ孤児院に暮らし、1週間違いで、異なる米国人里親に引き取られたことまで分かったのです。

 バス降りてからも会話は続き、二人は過去の古い写真を見せ合っていたら、幼少期に孤児院にいた頃の写真が出てきました。なんと、二人が持っていた古い写真の中から、アリーさんとルビーさんが一緒に並んで写っている写真を発見しました。あまりの衝撃に、二人とも驚きを隠せませんでした。

 二人は初対面ではなかった、すでに15年前に出会っていたのです。

 まるで導かれるようなこの再会を、単に偶然と言えるのでしょうか。これを機に二人は、自分たちの過去をもっと知りたいという想いが強まってきました。中国で過ごした幼少期の記憶は曖昧で、あの頃の出来事を思い起こすにも、養父母からもらったいくつかの写真と資料だけが頼りなのです。現在はそれぞれの養父母に、他にもまだ写真がないのか尋ねているそうです。

 養父母に引き取られてからは、恵まれた環境の中で幸せに暮らしているので、自分は幸運だと常々思っているこの二人は、現在同じ大学に通い、新たな友情のを築いています。そして何よりも15年の時を経て、生徒数15,000人の大学で、再び廻り会えたのはきっと、神様の取り計らいだと、アリーさんもルビーさんもそう思っています。

(看中国新聞記者・向真/翻訳・清瑩)