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 中国で人気の白酒(パイチュウ)「西鳳(シーフォン)」から、高レベルの有毒化学物質が検出された。これは健康に重大な害を及ぼす可能性があり、メーカーはリコールなどの対応に追われている。

 政府の安全基準の約3〜4倍の可塑剤が含まれていることが判明したのは、「西鳳酒」社の製品だ。「可塑剤」とは酒類業界で広く使用される添加物であるが、プラスチック製品やコンクリート、塗料等にも含まれている化学物質だ。こうした添加物が過剰に含まれた食品を摂取した場合、肝臓、腎臓、および生殖器に深刻な損傷を引き起こす可能性がある。また流産や奇形、さらには癌を引き起こす可能性も指摘されている。

 西鳳社の古酒である西鳳・国典鳳香に対して行われた試験では、フタル酸ジイソブチル(DIBP)とフタル酸ジブチル(DBP)という2種類の可塑剤が、食品添加物の基準値を超えていたことが明らかになった。各ボトルの容量は500ml、アルコール度数は60%であった。

 上海国際酒商センターの報告によると、西鳳の古酒に含まれるDIBPは1.44mg / kgであり(許容基準値は0.5mg / kg)、DBPは1.02mg / kg(許容基準値は0.3mg / kg)が検出されたという。

 陝西省西鳳社は、問題の白酒は中国国内で基準が定められるよりも前に製造された製品であると主張したほか、返品・交換に応じる旨を発表した。

 中国の「テンセントQQオンラインニュース」によると、西鳳社はリコールを公表したのみならず、1,299元(約21,396円)を支払って新製品に交換することができる特例措置を発表した。しかし同商品は市場で1瓶800元程度(約13,177円)で売られている。

 白酒(パイチュウ)とは、穀物から作られた酒の一種だ。1952年、中国共産党政権は4つの有名なブランド:汾酒(フェンチュー)、茅台(マオタイ)、瀘州老窖(ろしゅうろうこう)、西鳳(シーフォン)に認定を与えた。西鳳は中国西部に位置する陝西省の鳳翔県で生産されており、モロコシ、大麦、エンドウ豆、湧水などを原料としている。

 中国人の間では西鳳の問題は特別な事件と受け止められてはいない。なぜなら中国では日頃から食品の安全スキャンダル頻繁に話題になるからだ。実際、可塑剤にまつわる食品スキャンダルは西鳳が初ではない。2012年11月、酒鬼酒造で製造された酒類のDBP含有量は、基準レベルをはるかに上回る1.08mg / kgだった。

 当時、中国アルコール飲料協会は中国の市場に出回るすべての白酒に可塑剤が使用されていると主張した。また驚くことに、高級品になればなるほど可塑剤の含有量が高くなる傾向が見られたという。

 同協会は声明で、白酒の発酵過程で可塑剤が生成される事実はないと説明した。しかし、製造タンクのプラスチック蓋、またプラスチック製のパッケージ等から可塑剤が白酒に放出された可能性は否定できないとした。

 ある白酒メーカーは、製品の見栄えを向上させるために、可塑剤を含む化学物質である「粘着付与剤」を製品に添加していた事も明らかになっている。

 メラミンミルクのスキャンダルに続いて、中国のレストランで下水油が使用されていたことは日本でも広く報じられた。

 中国の農家は動物・魚介類・作物に多くの化学製品を使用しているとも言われている。有名な上海カニについても、大紀元は2012年9月、江蘇省のカニ業者がホルモンや避妊薬、抗生物質などをカニに与えてサイズを増加させ価格を高めたと報道した。

(翻訳・今野秀樹)