米国はこのほど、中国共産党(以下、中共)幹部とその家族への4種類のビザ発給を停止した。中共外交部の華春瑩報道官は13日、定例記者会見で、4つの省庁の幹部とその家族が米国にビザ申請を却下されたことを認め、米国が政治的な理由で「人為的に中米間の正常な人事交流を阻害している」と批判した。中国公式メディアは外交部に同調し、「これは中米関係の健全で正常な発展を妨げるものだ」と報道した。

 しかし、中国のネットユーザーは、外交部や公式メディアと違い、米国の措置を快く受け入れる態度をみせた。新浪微博(シンランウェイボー)では、ネットユーザーが相次いで当局を批判し、「政府が毎日我々に愛国を唱える代わりに、自らの子供を米国に行かせてどういうつもりだ」「北朝鮮、イラン、ロシアに行かせるべきだ!なぜ敵対する国に行かせるのか?」「海外資産を発表し、中共幹部の子供を中国に送還する米国のやり方を支持する。真の反汚職の英雄だ」といったコメントを残した。

 ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)のアナリストによる、中国では長年にわたる党と国家の一体性を強調する教育を実施しており、多くの人が自己の存在を忘れ、党と国家を区別できず、国民と政府の区別が曖昧になってしまった。外界が中共やあるいは中国当局を批判すれば、しばしば「ナショナリズム」と煽られる人に非難される。しかし、今回の事件は、中国人でさえも、政府関係者に同感せず、ひいては憎しみを示している。そして、彼らの官僚階級への恨みは深いようである。米国が中共幹部のビザを制限することが、中国人の拍手喝采をもらえるのは、膨大な官僚階級で国民を支配する中共政権にとって、良いニュースではないことは明らかだ。

(翻訳・徳永木里子)