(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 ある週末、娘と一緒に科学博物館を訪れたとき、宇宙船のシミュレーターで遊びました。

 「宇宙船」の中で、モニターの画面を見つめながら操作ボタンを押すと、「宇宙船」が起動しました。座席が強く振動し、モニターには「宇宙船」の進路が示されました。まるで本物の宇宙船を乗っているかのようでした。娘が非常に緊張していましたが、慣れてくると嬉しそうでした。

 数分間後、モニター上に複数の隕石が飛んできていることが示されました。私は方向ボタンを操作し、隕石を避けました。しかし、一つの隕石は「宇宙船」と衝突しました。娘は非常に緊張し、「もう止めよう、怖いよ」と怖がりました。

 私は笑いながら、「これは本物ではなく、宇宙船シミュレーターだよ」と言いました。しかし、娘はやめたがっていました。「宇宙船」から出てくると、娘は私に対し不満を言い始めました。隕石が「宇宙船」と衝突したシーンは娘に大きなインパクトを与えたみたいでした。私は「これは本物ではない」と説得を試みましたが、娘は隕石と衝突したと一点張りでした。

 大人はシミュレーションが現実ではないと知っているため、シミュレーションの体験をあまり真剣に受け止めません。しかし子供は大人と違い、隕石と「宇宙船」が衝突したシーンを見て、座席の振動をも感じると、それが現実だと感じるようです。このことに気づいた私は娘に対し、「今度宇宙船シミュレーターを遊ぶときは宇宙船が隕石と衝突しないよう頑張るから」と言葉をかけると、娘は徐々に気を取り戻してくれました。

 家に帰る途中、私は先のシミュレーションの出来事についてよく考えました。日常生活の中では、このような違いは珍しくありません。同じことに対し、人それぞれの受け入れ方、感じ方があるのです。自分が気にかけない些細なことでも、それを非常に重く受け止める人が周りにいるかもしれない。このことを念頭に置きつつ生活すれば、不必要な「衝突」も避けられることでしょう。

(翻訳・黎宜明)