「廣陵散」は古琴曲であり、中国の十大名曲の一つです。この曲は中国の後漢時代(25年―220年)廣陵(現在の江蘇省揚州市)というところで流行していました。

 「廣陵散」は古代中国の戦国時代(紀元前5世紀-紀元前221年)の聶政(じょう せい)が厳仲子の恩を返すために、韓の宰相・侠累を殺し、自分も自殺した物語を元にしています。

 三国時代(184年―280年)、竹林の七賢の一人である嵆康(けい こう、224年 – 262年あるいは263年)は魏の武将・鍾会(しょう かい、225年―264年)の恨みを買い、処刑されることとなりました。嵆康は処刑される前に「廣陵散」を演奏し、演奏終わってから「今後この曲の演奏をできる人はもういないだろう」と言いました。

 現存する「廣陵散」の曲は有名な古琴演奏者・管平湖氏(1897年―1967年)が明の時代(1368年―1644年)に出版された「神奇秘譜」という本から整理したものです。管平湖氏が整理した曲は、嵆康が演奏した曲と同一であるかどうかは明らかになっていません。

 有名な古琴演奏者・管平湖(1897―1967)が演奏する「廣陵散」:

(文・黎宜明)