オーストリアの作曲家、フランツ・シューベルト(Franz Seraphicus Peter Schubert, 1797年 – 1828年)は、ロマン派音楽の初期を代表する人物であり、古典派音楽の最後の巨匠とも呼ばれています。31年と早世ながら、彼は数多くの作品を遺しました。

 シューベルトは5歳の時に、父から音楽の基礎教育を受け始め、8歳の時にヴァイオリンの勉強を始めました。シューベルトの音楽的才能は常に音楽教師を驚かせ、感服させていました。

 1825年、シューベルトの作品は次々と出版されます。同年の夏、休暇旅行で北オーストリアを訪れたシューベルトは、現地で多くの人気を集めました。その旅行中に、彼は《歌曲集『湖上の美人』》(Liederzyklus vom Fräulein vom See)を創作し、そこに収録されている《エレンの歌 第3番》(Ellens dritter Gesang, EllensGesang III)は、現代において『アヴェ・マリア(Ave Maria、ラテン語で「めでたしマリア様」)』として親しまれています。

バトーニによるマドンナ。聖母子像の一例(パブリック・ドメイン)

 この曲は、イギリスの小説家であるウォルター・スコット原詩により作曲し、純潔な少女エレンが、聖母マリアに助けを求めて祈りの言葉を口ずさむ情景を描いています。数多くの『アヴェ・マリア』において最も有名な一曲であり、多くの有名な音楽家に演奏されています。

 これから紹介するのは、20世紀の有名なチェリストであるダニール・シャフラン(Daniil Shafran、1923年 – 1997年)と、ピアニストのグリゴリー・ギンズブルク(Grigory Ginzburg、1904年 – 1961年)が合奏するシューベルトの『アヴェ・マリア』です。

シューベルトのアヴェ・マリア:

YouTube上にあるシューベルトのアヴェ・マリア(歌):

Schubert – Ave Maria

(翻訳・常夏)