安全が確認されていない乳幼児用ワクチンが25万本出荷され、在庫の186本だけが回収された(画像:pixabay / CC0 1.0)

 最近、中国で起こった不正ワクチン事件は、国民の心に怒りの炎を接種した。中国では毎年このような事件が起きており、今回の事件は氷山の一角にすぎない。資料によると、中国で起きた最初のワクチン偽造事件は1933年、中華民国の時代に起こっている。

 事件は漢口免疫所でコレラワクチンの管理していた徐廷輝の個人による犯罪だった。当時、伝染病の流行が多発していたため、中華民国政府は免疫関係の業務を非常に重視していた。コレラだけでも1926年から1946年までの間、北京で12回の流行性コレラが発生したことから、当時の発生率が高いことが分かる。

 徐廷輝は、ワクチンから「ビジネスチャンス」を見つけ、塩水で68本のコレラワクチンを偽造した。偽造した中央免疫所のラベルを貼り付け、知人に頼んで地元の薬局に売却したが告発された。

 事件が起きた後、漢口公安局は速やかに行動し、主犯の徐廷輝を逮捕し、共犯者の陳玉安を全国で指名手配した。68本の偽ワクチンも全て回収された。当局は事件を非常に重視し、漢口地方裁判所も速やかに審理した。2ヶ月後の1933年9月23日、「文書偽造と公共への危険行為」等の罪名で、徐廷輝に5年間の懲役を判決した。

 それに比べて今回の不正ワクチン事件は、9ヶ月の調査を受けた後、25万本のうち186本の在庫品を回収し、違法所得85万元(約1400万円)の没収と344万元(約5800万円)の罰金を科しただけである。もし中華民国の時代にこのような大規模で組織的な不正行為が行われていたら、その会社の役員は死刑を判決されていたにちがいない。

(翻訳・清水小桐)