9月4日自殺した内モンゴル自治区アラシャン盟のモンゴル族公務員・蘇日娜(ソジナ)(イメージ:南モンゴル人権情報センター)

 今年の9月、多くのモンゴル人の保護者が当局の強制的な「中国語教育」政策に抗議するため、子供たちを学校に送ることを拒否した。 2人の学生の両親が、同政策に反対するために自殺した。しかし、中国共産党は政策を改変せず、抗議者の抑圧を強めた。

 中国における信教の自由の迫害と人権に関する雑誌「寒冬(Bitter Winter)」10月20日の報道によると、今年の9月、モンゴル人作家ナスンウリジ氏は、WeChatグループで「当局による内モンゴルでの中国語教育の強制的な推進はモンゴルの民族と文化の消滅である」と非難し、さらに、中国共産党の六四天安門運動における大学生に対する残酷な鎮圧、及び新疆ウイグル地区におけるイスラム教徒への抑圧の実情を公開した。そのため、ナスンウリジ氏は警察に拘束され、訪問も禁止された。

 ラジオ・フリー・アジアによると、内モンゴルの人権弁護士である胡宝龍は子供の登校を拒否したとして、9月に「故意にトラブルを引き起こした」という罪で通遼市警察に拘束された。現在検察官から逮捕令状が下された。

 ネットで9月18日に公開された文書によると、内モンゴル自治区にあるスポーツスクールのコーチ、国レベルの中国式レスラーが、子供を学校に送ることを拒否したために解雇された。 

 また、内モンゴル自治区にある都市の会社員は、9月1日に中国語教育政策に抗議するために子供を学校に行かせなかったとして、警察に逮捕され、5万人民元(約78万円)の罰金を科されたと明らかにした。地方当局は「公務員が子供を3日間学校に行かせなかった場合、解雇される」と規定している。

 通遼市のある医師は「寒冬」に、授業を避けるために子供を入院させようとしたが、最終的に失敗したと語った。「病院は、すべての医療スタッフに中国共産党を支援する誓約書に署名することを強制した」と述べた。

 中国共産党政権の強制執行の下、一部の親は子供たちを学校に送ることを余儀なくされた。シリンゴル盟のある遊牧民は「政府は子供を学校に行かせることを強制し、学校に行かせなかった場合子供を奪い取り、法律で罰すると脅した。・・・私は毎日恐怖の中に生きており、死んだほうがましだ」と話した。

 内モンゴル自治区のある生徒は9月17日、日記に「今日は学校の初日で、お父さんもお母さんも泣いた。神様も泣いている。草原には雨が降り、心細く感じる。モンゴル文化を失いつつあると感じた。これからもっと一生懸命勉強し、中国語をあまり話さず、モンゴル語を大切にするようにする」と綴った。

 保護者たちは「子供たちの未来が脅迫され、誰も自分たちの権利を守る勇気がなくなった」「これは人種と文化の消滅であり、国際社会の助けがなければ、内モンゴルはおそらく第2の新疆になるだろう」と不安を募らせた。

 内モンゴル自治区の教師は「教師は毎日生徒を学校に登校させるようにしなければならない。もしそうしなければ、罰せられるか、職を失うことになる。先生は生徒の家に行くとき、当局関係者が同行する。当局の要求に応じて子供が学校に戻るよう、両親を説得しなければならない。また、教師の携帯電話は当局によって監視されており、自宅でも話す内容に気をつけなければならない」と話した。

 フルンボイル市のある教師は「伝統的なモンゴル語は、現在世界で唯一左から右へ縦に書かれている文字であり、世界の無形文化遺産の1つであり、国宝である。貴重なものであると宣伝する必要がある。中国共産党の計画通り決して消滅させてはならない」と述べた。

(翻訳・北条)