(イメージ:看中国/Vision Times Japan)

 中興通信(ZTE)、ファーウェイなどの企業が米国に制裁されるにつれ、中国の「チップ」不足問題が表面化している。中国共産党トップの主導で、中国全土でチップ産業への投資ブームが起きている。しかし、ここ1年ほど半導体プロジェクトが頻繁に終了する現象が5つの省に広がっており、業界を不安にさせている。

 中国共産党の公式メディア 「瞭望」誌9月30日の報道によると、数百億レベルに達する大規模プロジェクトの投資計画が6つあり、南東海岸、中央部、南西部、北西部の5つの省に及ぶ。

 南京経済技術開発区の德科碼半導體科技有限公司は2015年12月に設立され、「南京のTSMC(台湾積體電路製造股份有限公司)」と呼ばれる地元のスター企業で、投資額は30億ドルを予定していたが、賃金や技術料の不払い、借金などの理由で現在は倒産している。

 四川省の格芯集積回路製造有限公司は、2017年に米国のチップファウンドリーGrofondと成都市政府との提携により、90.53億ドルの投資計画で設立された。当時、「Grofondが投資した世界最大かつ最も技術的に進んだ生産拠点」と称されていたが、現在は閉鎖された。敷地面積は700~800ムーの工場には警備員一人が常駐している以外は誰もいない。

 陝西省の敷地面積約2000ムーの陝西坤同半導体科学技術有限公司が2018年に設立され、もともとは400億元近く投資して、第6世代のフレキシブルスクリーンの生産ラインを構築することを計画していたが、苦境に陥って、中核となる幹部は全員退職した。

 江蘇省淮安市の重点プロジェクトである徳淮半導体有限公司はまだ着工していない。2016年設立時に総投資450億元を計画し、2019年末から知事の郵便受への陳情、起訴などの方法を介して従業員が賃金を要求している。現在会社は「半休業」状態になっている。

 貴州のかつての 「スター企業 」である華新通半導体科技有限公司は、依然として破産・清算中である。2016年、貴州省政府は数十億元を投じて米国クアルコムとの合弁会社を設立したが、3年後には商業的に持続可能性がなく、閉鎖を発表した。

 最大1280億元の総投資を計画していた武漢宏新半導体製造有限公司は、2019年12月に初のハイエンドリソグラフィ装置の工場入庫式を盛大に行ったが、現在は「まだ起動していない新品」のリソグラフィ装置が銀行に抵当権設定されており、倒産の危機に瀕していることがわかった。

 台湾メディアによると、9月28日に報道された中国SMIC(中芯国際集成電路製造)のエンジニアは、業界が悲観的で、中国共産党の国内チップの自給率の見通しについて無力であることを明らかにした。中国SMICは、独自の生産ラインを開発している40nmのチッププロセスに対して、TSMCはすでに5nmのチップ大量生産を達成している。

 米国の専門家は、中国のチップ産業の発展は40年の巨額な投資を経ても、スパイ活動を通じて技術を獲得しても、依然としてハイエンドのチップを製造することは困難であると指摘した。未来は依然として対外依存の局面を転換しがたい。

(翻訳・藍彧)