延辺朝鮮族自治州の延辺大学(イメージ:Wikimedia Commons / Yoshi Canopus / CC BY-SA

 中国共産党が、内モンゴル自治区で中国語教育の強制推進によるモンゴル人の大規模な抗議が続く中、朝鮮族の小中学校で新学期から中国語の教科書に変更するように要求した。

 朝鮮日報によると、中国遼寧省など東北地方の一部の朝鮮族小中学校は、これまで使っていた延辺教育出版社の中国語教材に代って、9月からの新学期で中国共産党が編纂した中国語の教科書に切り替えたという。

 中国の少数民族の学校では、今まで母語で書かれた教科書が使われていた。延辺教育出版社の教科書には、中国語のみならず、朝鮮語の解説や朝鮮民族の伝統文化に関する文章を載せている。中国共産党が編纂した中国語の教科書は、全国の標準教科書となっており、民族的な要素が含まれていない。

 情報筋によると、一部の朝鮮族学校では、数学など他の教科も中国語の教材に置き換えられ、中国語教育の強化を始めているという。

 教科書の変更前に、朝鮮族学校での教育の質の低さや、朝鮮族学生への優遇が限られているなどの理由で、一部の朝鮮族はすでに子供を漢族学校に入学させている。

 今回の中国語教育推進は、朝鮮族教育の崩壊を招くと危惧する朝鮮族社会団体が懸念している。

 中国の朝鮮族は、遼寧省、吉林省、黒龍江省などの東北地方に集中しており、今年の朝鮮族の大学受験生は約2000人と推定されている。

 

(翻訳・藍彧)