過去数十年間、米国と中国は矛盾した道を歩んできた。ソ連崩壊後、米国は世界の覇権国家であり続けてきた。一方の中国共産党政権は、今世紀に入ってから米国に代表される民主主義的価値観に挑戦するようになった。現在、両国は貿易問題を抱えているが、米国が問題としているのは果たして表面的な貿易「戦争」だけなのだろうか。

貿易「戦争」はここから始まった
 トランプ米大統領は、中国が外国企業に技術を引き渡すよう圧力をかけていたことを指摘し、「これは自由貿易協定の違反である」と述べた。それ以来、両国間の舌戦は激化する一方だ。
 一方の中国は、中国をすべての技術関連製品の製造拠点とすることを目指す国家戦略「中国製造2025(Made In China 2025)」を計画しており、米国と勝負を仕掛けるか、米国の要求に応じるか、いずれかの選択を迫られている。

技術と特許が盗用される可能性も
 この問題は、複数の米国系ハイテク企業が、中国の政策によって中国市場へのアクセスを妨げられていると不満を表明していたことに起因する。事実、中国は外資系企業に対し自国への技術移転を強いていた。
 この動きは、技術の世界的リーダーであるアメリカにとって大変な脅威と認識された。米国のハイテク企業が技術を中国に移転しなければならないとすれば、それが米国企業の競争力に悪影響を及ぼすのは必定だ。当然、米国政府は中国の政策に反対した。「必要なのは実際の構造変化だ。このままでは何千万ものアメリカ人の雇用が危ぶまれる」と、米貿易代表部のライトハイザー氏は指摘する。

アメリカが中国に課した制裁
 中国への圧力を強化するため、米国は中国からの輸入品のうち約500億ドル(約5兆4200億円)相当に25%の関税を課す計画がある発表した。それに呼応し、中国は米国からのアルミニウムスクラップと豚肉の輸入に対し報復関税を課した(後にワイン・鋼管・リンゴもこの対象となった)。これに対し、トランプ大統領は「中国政府は現在米中両国の不公平の経済関係を改善するつもりはない」と認識し、今週月曜日に2000億ドル相当の中国からの輸入品に10%の関税を課すつもりだと発言した。

アメリカの悩みの種は貿易赤字だけではない
 中国に対する米国の貿易赤字は、年間3350億ドルという驚異的な額に達していた。このことは、アメリカにとって大きな頭痛の種だった。米国政府は、貿易赤字を年間2,000億ドルまで削減したいと考えている。
 しかし、米中の摩擦は貿易赤字の問題にとどまらない。中国共産党政権は自由貿易のルールを破壊し、米国企業の技術を盗み、米国の産業や経済を悪い影響を与えてきた。この状況に対し、「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領は選挙戦の時より根本的解決を訴えてきた。この観点からすれば、米中の貿易摩擦は「戦争」ではなく、トランプ大統領による国際貿易の正常化だと捉えることができるだろう。

(翻訳・今野秀樹)