2020年7月、合同海上軍事演習中の米印海軍軍艦(写真・アメリカ海軍)

 米国と中国の緊迫した関係がエスカレートする中、中印国境で再び紛争が勃発した。台湾経済学者呉嘉隆氏は7日に、「インド軍と米軍は対中戦争の準備を整えており、インドが中国と戦争になれば、米国は間違いなく支援するだろう。インドが中国に対し、石油禁輸を実施すれば、米軍は南シナ海から対中戦争を仕掛け、中国は挟み撃ちされる」との見解を示した。

 インドメディアによると、中印両国国防長官のモスクワでの会談が合意に達しなかったため、衝突が激化した。そして、9月7日に45年間なかった威嚇射撃が起こった。

 現在の情勢について、呉嘉隆氏は「米中戦争の鍵はインドが握っている」と話した。また、インドと中国が戦争になる3つの理由について述べた。

 「第一に、中国の『一帯一路』は陸地と海上からインドを囲み、インドの国家安全を脅かしている。第二に、中国はチベットのヤルンツァンポ川で大量にダム建設し、東インドの水資源に深刻な影響をもたらしたため、インドはすでにこれらのダムを崩壊させる弾薬を備蓄している。第三に、インドは米国と日本がサプライチェーンを中国からインドに切り替えると見据えている。米日はインドの急速発展の勢いに期待し、中国の発展を押さえ込もうとしている」

 また、呉嘉隆氏は「インドと米国はすでに対戦の準備を整えている。印中戦争となれば、インドはインド洋からマラッカ海峡地帯において、中国の石油タンカーの航行を阻止するだろう。その後、米国が南シナ海で戦争を繰り広げ、南シナ海における中国の原子力潜水艦基地がターゲットとなる。現在ロシア、イスラエル、フランスなどの国がインドに軍用資源を販売提供しており、中印国境戦争の可能性はますます高まっている」と述べた。

 さらに、呉嘉隆氏はインドと中国との長年の宿怨について、1962年に起きた中印国境紛争戦争のほかに、インドが国連安全保障理事会の理事国になろうとしたのを、中国が阻止した経緯についても言及した。つまり、開戦要因の多くの火種が、インドと中国双方にある。

(翻訳・北条)