2020年バージョンの中華民国パスポート(パブリック・ドメイン)

 中華民国外務省は9月2日、パスポートの表紙デザインの更新を発表した。新しいデザインは「TAIWAN」の文字を大きくしたほか、中華民国の英語名「REPUBLIC OF CHINA」の文字を縮小した。中華民国外務省は、これは台湾人と中国人を区別するためだと強調した。

 今年1月に新型コロナウイルス(中共ウイルス)が発生してから、世界各国は中国からの旅客の入国を制限し始めている。台湾のパスポートに「REPUBLIC OF CHINA(中華民国)」が印字されているため、「PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA(中華人民共和国) 」からの旅行者だと間違われることが多い。そのため、台湾立法院は今年7月下旬に、パスポートにある「TAIWAN(台湾)」の視認性を改善して混同を避けることを議決した。

 台湾の呉釗燮外務大臣は9月2日のインタビューで、海外で中国人と誤解されて不当な扱いを受ける台湾人がメディアでよく報道されている。したがって、台湾パスポートにある「TAIWAN」の視認性を強調する必要があると述べた。

 今回の台湾旅券のデザイン刷新に対し、野党の国民党は与党民進党がイデオロギーを扇動していると批判した。故意に「REPUBLIC OF CHINA」をほぼ見えないくらいに縮小したことは、かえって中華民国が国際社会に参入して国を強調する機会を失ったと議論を呼んだ。  

 国立台湾大学の法学部教授姜皇池氏は、ボイス・オブ・アメリカとの電話インタビューで、実際、台湾のパスポートと新しいデザインのパスポートの法的効果はさほど変わっていない。ただ中国との混同を避けるために「TAIWAN」という言葉を強調表示するようにサイズを調整しただけだと述べた。  

 姜教授はさらに、パスポート上の「REPUBLIC OF CHINA」を削除して「TAIWAN」だけを残していても、蔡英文総統が国号の変更を発表しない限り、法的な違いはないと説明した。ただし、「REPUBLIC OF CHINA」を本当に削除する場合は、中国、米国、日本などで解釈が異なるかどうかを検討する必要があることにも留意し、事前に十分な検討が必要だと述べた。

(翻訳・北条)