中国の生物兵器防衛の専門家である陳薇(チン ウェイ)少将(イメージ:Weibo)

 毎年秋学期の始業式(9月1日)前後、全国の小中学生を洗脳するために、中国中央テレビ(CCTV)は中国共産党宣伝部などの部門が制作した『学期最初の授業』という番組を必ず放送する。今年は、中国軍の生物兵器防衛研究の第一人者である陳薇(チン ウェイ)少将(54歳、中国工程院院士、中国軍事医学研究院バイオテクノロジー研究所の所長)がメインキャストを務め、2月26日にすでに新型コロナウイルスのワクチンが製造されたと証言した。同発言はネットの反響を呼んだ。

 中国公式メディアによると、陳薇は『学期最初の授業』で、彼女が研究していた新型コロナウイルスの遺伝子組み換えワクチンは2月26日に生産されたことと、たまたま彼女の誕生日だったことを語った。

 著名財経評論家「財経冷眼」は陳薇の発言の映像をリツイートし、ネットユーザーからのコメントが相次いだ。

 「1月23日に武漢がロックダウンになったが、2月26日にワクチンができたというのは、いつ研究開発を始めた?ワクチンのウイルス標本はなに?いつ、どこから手に入れた?ワクチンが製造までに何段階の臨床実験を経たのか?二重盲検法の結果はどうだったのか?どの国家機関の認証を受けた?以上すべての条件をクリアしたなら、計画の一部なのか」

 「ワクチンの開発にどれくらい時間かかるだろう?よく考えてみるとゾッとする」

 「中国共産党が世界にウイルスを撒いたのね」

 「これこそ証拠だ」

 「中国共産党が故意にウイルスを撒いたという事実の証拠だ。1月20日には人から人への感染を否定していたのに、2月26日にもうワクチンができた」

 「生物兵器を研究すると同時にワクチンを研究していたんだ。人道に対する罪に該当する」

 「陳薇の発言を英語に翻訳して、トランプ氏とポンペオ氏に転送すべきだ」

 「ニュルンベルク裁判で、彼女に一席残すべきだ」

 一方で中国共産党が愛国主義を宣伝し、子供を洗脳するためにほらを吹いているという見解もある。

 「長年経ってもSARSのワクチンすらできていないのに、新型コロナのワクチンだなんて冗談だろう」

 「最も基本的な医学常識もない。これでも院士か」

 「ワクチンと言えるか、塩水だろう」

 「嘘国家、国民が気の毒」

 「子供を洗脳するためにでっち上げた劣化ビデオ」

 実は、CCTV と中国国防省の公式サイトは3月17日に、中国軍の軍事医学研究院陳薇院士が率いるチームが新型コロナのワクチンを開発したと発表した。3月16日に臨床実験の許可が下りたという。これには三つの疑問点がある。

 第一に、ワクチンの開発スピードに無理がある。

 台湾自由時報によると、世界保健機関はかつてインフルエンザのウイルスを例に、ウイルスの分離と鑑定からワクチンの製造まで、少なくとも5から6ヶ月かかると報じた。

 第二に、中国のワクチン会社カンシノ・バイオロジクスの株価が昨年後半に変動していたのはなぜだ。

 ワクチン開発に携わっているカンシノ・バイオロジクスの株価が2019年3月に上場してから、30香港ドルあたりを維持していた。しかし、昨年9月に武漢新型コロナウイルス演習後、10月から異常な動きを見せ、11月中旬に大幅に値上がり、12月末には2倍となったという別の疑惑も指摘されている。

 第三に、中国共産党がなぜ予測できたことに疑問。

 軍人スポーツ選手のミリタリーワールドゲームズが2019年10月18日から10月27日まで武漢で行われた。これに先立ち、2019年9月18日に、武漢税関と国際ミリタリースポーツ執行委員会が武漢で合同演習を行い、演習のテーマが空港の入港口で「新型コロナウイルス感染例」発見の措置と対応であった。

 中国共産党はなぜ数ヶ月前にすでに武漢で新型コロナウイルスが発生することを予測し、演習を行ったのか。多くの人が関心を寄せている。

(翻訳・北条)