スイス経済の中枢であり、欧州屈指の金融センターであるチューリッヒ市(flickr/kuhnmi CC BY 2.0

 米国は、香港の民主と自由を損なう香港版国家安全維持法(国安法)を強行実施した中国共産党に対して、中国と香港の高官を制裁した。中欧に位置する世界最大のオフショア金融センターであるスイスも制裁を検討している。

 中国共産党の「香港国安法」に対し、これまで中立主義を貫いてきたスイスが中国共産党を譴責した。スイスのイグナツィオ・ カシス外相は8月2日、中国共産党による人権侵害の増加に伴い「開放の道を踏み外している」、香港国安法が「一国二制度」の実施に影響を与えており、中国共産党が相変わらず堅持すれば、欧米諸国は断固として対応することを誓うと述べた。

 スイス政府は8日、スイス銀行を含むスイス企業が海外の人権侵害者との取引を制限するかどうかを決める国民投票を11月に実施すると正式に発表した。

 中国問題専門家の程翔氏は中国語新聞「大紀元」紙のインタビューで、スイスの反応は異常だと指摘した。「スイスが300年近く中立政策を貫いてきたため、第一次世界大戦や第二次世界大戦を回避できた。この優れた伝統は、多くの金持ちがスイスにお金を預ける要因である。スイスのカシス外相が香港問題で中国共産党を非難したことは、何世紀にもわたって貫いて中立路線を放棄したことに等しい」と述べた。

 程氏はまた「中国共産党政権の邪悪な一面を見た以上、スイスは中国共産党幹部の秘密口座を公開するかどうかだ。数日前、スイスには10万億ドル以上(スイスの銀行に置いてある)の総資産を持つ中国共産党高官が1000人ほどいるという報道があったのも偶然ではない。スイスがこれらの秘密口座の詳細を公開すれば、中国国内の民衆で大きな反響を引き起こし、中国共産党の崩壊につながるだろう」と推論した。

 香港実業家の袁弓夷氏は、中国高官の約10万億米ドル資産のうち、最も大きな割合を占めるのは中国共産党元魁首の江沢民一族で、少なくとも1万億米ドルあると指摘した。米国に亡命した中国富豪の郭文貴氏も2019年4月、江沢民一族は少なくとも1万億米ドルの資産を所持していると暴露した。

 2020年のフォーブスの富豪リストでは、アマゾン創設者のベソス氏が1130億米ドルで2度目の世界一の富豪となっているが、江沢民一族の資産をはるかに下回っている。富豪リストに載っている2,095人の億万長者の総資産額8万億ドルが、中国共産党のエリートらが保有する10万億ドルには及ばない。

(看中国記者・徐雲楓/翻訳・藍彧)