香港の夜景(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 米政府は7日、香港の自治を損ねたとして、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官、香港・マカオ事務局の夏宝龍局長ら中国・香港の高官11人に制裁措置を科した。これを受けて、8月10日には中国共産党支配の香港警察が、壱伝媒(ネクストメディア)創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏など多くの人を逮捕した。香港メディアによると、このような状況を踏まえ、トランプ政権は太子党(紅二代、紅三代)をターゲットにした第二次制裁の実施に向けて準備を進めているという。

 香港の蘋果日報(アップルデイリー)は8月15日、米共和党の海外事務機構の兪懐松(Solomon Yue)副委員長が13日、ネクストメディア の創業者である黎智英氏が逮捕されたため、太子党を対象とした第二次制裁がまもなくやってくることを明らかにしたと報じた。第二次制裁は香港の銀行はドル取引を扱うことができなくなり、香港証券取引所が被害者になるという。

 ラジオ・フリー・アジアは以前、香港国家安全維持法(国安法)の実施は香港の国際的地位を危険にさらしていると報じた。香港の国際金融センターとしての地位が弱まる中、香港を通じて巨額の資産を手に入れた中国共産党の二世、三世の運命が懸念されている。

 同紙によると、北京当局は香港国安法を制定する際、「香港問題解決したい」という習近平の要求に応えただけで、この立法の結果を考慮していないという。米国の一連の制裁は、香港で巨額の資産を保有する中国共産党の太子党に対して大きな抑止力となっている。現在の世界金融システムでは、ある程度の規模の銀行であれば、米国との間で金融取引を行っており、どの国も米国の制裁を受けた人に銀行サービスを利用させたくない。したがって、米国の制裁リストに名前を載れば、国際的な金融活動に行うことはできない。

 ニューヨーク・タイムズ紙は8月12日号で、中国共産党指導者の習近平、汪洋、栗戦書の親族が香港で総額5100万米ドル以上の高級物件を所有していると報じた。ラジオ・フリー・アジアは、この数字は中国共産党幹部の財産の一万分の一にすぎないとの情報筋の発言を引用した。 情報筋は、「中国共産党の元老の子女の多くが香港に財産を持っており、『香港国安法』の施行後、彼らは恐怖に怯えている」と語った。しかし、財産を香港から移転しても安心できない。

 香港の実業家・袁弓夷氏は8月12日、中国語新聞「大紀元」に対し、マイク・ポンペオ米国務長官が、保守的に10万億米ドルと推定される中国共産党幹部の海外資産の凍結を行うよう各国に働きかけており、この資金は武漢肺炎(新型コロナウイルス)の補償に使われる可能性があると述べた。 資産約10万億米ドルのうち、最も大きなシェアを占めるのは江沢民一族だ。

 また、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)の報道によると、中南海の重要顧問、中国学者の余永定も最近、米中は金融紛争の危機に瀕しており、米国は中国の銀行を制裁するだけでなく、中国(中国共産党)の海外資産を差し押さえる可能性があると発言している。

(看中国記者・林中宇/翻訳・藍彧)