エドワード・スノーデン氏(Wikimedia Commons / Edward Snowden / CC BY

 米政府による膨大な監視プログラムを明らかにしたため、2013年にオバマ政権に指名手配され、現在も亡命中のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏(元CIA職員でNSAの外部委託技術者)に対し、トランプ大統領は恩赦を検討していると希望の声が報じた。共和党議員の中には賛同する声もあった。

 トランプ氏は15日、ニュージャージー州のゴルフクラブで記者会見を行った。スノーデン氏の恩赦について記者から質問に対し、トランプ氏は「この問題をよく考えてみる」と検討する意を示した。

 トランプ氏は8月13日ニューヨーク・ポスト紙のインタビューを受けた際にスノーデン氏に言及した。「スノーデン氏は公平に扱われていないと思う人が多いと聞いている。多くの人は彼を親切に扱うべきだと考えているが、一部は彼が非常に悪いことをしたと考えている人もいる 」と述べた。

 また、2016年にトランプ氏の選挙チームスタッフを不当に監視したジェームズ・コミー(James Comey)前FBI長官をスノーデン氏と比較し、「コミーは自由を享受しているが、スノーデンは指名手配犯扱い。これはスノーデンに対して不公平だ」と述べた。

 共和党のランド・ポール(Rand Paul)上院議員はスノーデン氏を支持する議員の一人である。彼はスノーデン氏が不公平な待遇を受けていると考え、スノーデン氏の恩赦を求めている。共和党のトーマス・マッシー(Thomas Massie)下院議員はスノーデン氏は何の罪も犯していないとし、その行為は「憲法に忠誠を尽くしている」と述べた。

 2013年5月、スノーデン氏は匿名で香港のメディアに対し、米政府の「監視プログラム(PRISM)」を明らかにした。米政府は人々のプライバシーとインターネットの自由を破壊する巨大な監視マシンを密かに構築している。同年6月、スノーデン氏はCIA勤務中に入手した情報資料で、イギリス政府が2009年のG20サミットに出席した指導者や政府関係者の通信記録と電子メールを監視していたと告発した。

 スノーデン氏はその後、英ガーディアン紙とワシントン・ポスト紙に身元を公開することを許可した。事件後、オバマ政権はスパイ活動、窃盗、国防情報の不正開示の複数の容疑でスノーデン氏を指名手配した。2013年6月にスノーデンはロシアに逃亡して現在に至る。なお、他の国にも政治保護を求めている。

 2015年、米連邦裁判所は、スノーデン氏が公開した米政府監視プログラムは少なくとも80%のアメリカ人の電話情報を収集していたとし、違法という判決を下した。同年、オバマ政権は同プログラムを終了法案に正式に署名した。スノーデン氏は米国民が自分の権利を守る「歴史的勝利」と称した。

 スノーデン氏は公正な裁判を受けられる場合に限り、米国に戻ることを希望しており、トランプ氏の発言にポジティブな態度を示した。

(翻訳・藍彧)