今年は、北西太平洋と南シナ海で発生した台風の数が、例年を大きく上回っています。8月24日の時点の発生数は21個で、例年同期の12.1個をおよそ9個上回っています。このうち中国に上陸した台風は5つで、こちらも例年平均の4.4個を上回るペースです。8月19日から24日までの6日間には、新たに4つの台風が相次いで発生しました。その結果、今年に入って初めて、4つの台風、18号、19号、20号、21号が同時に活動する状況となりました。このうち台風18号は、中国の華東地方を直撃する進路をたどっています。台風19号と台風20号は、華南地方を南北から挟むように接近しています。台風19号は、すでに広西で深刻な洪水被害を引き起こしています。
4つの台風の中で、最も規模が大きく、最も警戒が必要なのが台風18号です。台風の直径はおよそ1000キロに達し、形は左右対称で、台風の目もはっきり確認されています。8月24日11時の時点で、中心は浙江省温州の南東およそ1549キロの海上にあり、中心気圧は935ヘクトパスカルでした。最大風力は16に達していました。予報では、26日前後に東シナ海へ進み、27日夜から28日午前にかけて、浙江省南部から福建省沿岸に上陸する見込みです。上陸時には、最大風速が秒速35メートルから45メートルに達するおそれがあります。一方で、台湾東部沿岸の沖合をかすめたあと、福建方面へ進路を変える可能性も残っています。
風力階級は、数字が1つ上がるごとに、風の威力が2倍になり、大きく強まるとされています。気象庁では風力を0から12までの階級で示しています。風力8になると、木の枝が折れ始め、向かい風の中では歩くのもかなり困難になります。風力9では、瓦が飛んだり、太い枝が折れたりするおそれがあります。風力10になると、建物に被害が出始め、木が倒れることもあります。風力11や12は陸上ではまれですが、ひとたび吹けば非常に大きな被害につながります。例えるなら、風力8は時速60キロのバイクが正面からぶつかってくるようなもの、風力11は時速100キロの乗用車が突っ込んでくるようなものです。こうした強風は、日常で経験する風とは比べにくいほど危険です。 台風18号は、上陸するころには非常に強い勢力に達している見込みです。中心付近では風力12から14に達し、通過する海域では風力13から16、突風は風力17に達するおそれがあります。これは風力階級の上限に近い、きわめて危険な強さです。24日から29日にかけては、東シナ海南部、台湾海峡、浙江省と福建省の沿岸で、風力9から12の強風が続く見通しです。さらに、風力13から14に相当する非常に強い突風が吹くおそれもあります。つまり、台風が上陸する前から、沿岸部はすでに危険な強風域に入る可能性があります。 27日から30日にかけては、浙江、福建、台湾に加え、広東、広西、湖南、江西、貴州、雲南でも大雨から非常に激しい雨となり、局地的には猛烈な雨になるおそれがあります。
台風20号そのものは、比較的小規模でした。24日昼に福建省泉州へ上陸した時点でも、中心付近の最大風力は8にとどまり、泉州の風も風力6から9程度で、極端に強いものではありませんでした。ただし、被害が小さかったわけではありません。この台風が引き込んだ南西の気流の影響で、台湾南西部では雨が一気に強まりました。高雄では24時間雨量が529ミリに達して観測記録を更新し、台南でも300ミリを超えました。さらに、高雄では19日以降の累積雨量がすでに1000ミリ近くに達しています。つまり、台風20号は風そのものはそれほど強くなくても、大雨によって深刻な被害をもたらすことがあると分かります。
現時点で、実際の被害が最も大きいのは台風19号です。ただ、この台風はまだ上陸していません。8月21日以降、トンキン湾付近でほぼ停滞したまま、強い雨を降らせ続けています。そのため、広西南西部では大雨の状態が長引いています。防城港市上思県では、3日間の累積雨量が617.8ミリに達しました。複数の村で道路が冠水し、住民が自宅に取り残される事態も起きています。広西では、被害がさらに広がっています。崇左では農地の冠水が起き、一部の地域では停電や通信障害も報告されています。広西全体では、13の河川と19の観測地点で水位が警戒水位を超えました。被災者は6万人を超え、寧明だけでも避難した住民は1万6000人を上回っています。広西は7月にも台風による大きな被害を受けたばかりで、わずか1か月あまりで再び同じような災害に見舞われました。台風19号は、25日夜から26日午前にかけて、広東省の雷州半島西側から広西沿岸にかけて上陸する見込みです。上陸時の勢力は風力10から12程度とみられていますが、上陸後も広西では強い雨が続く見通しです。
台風21号は、4つある台風の中でいちばん新しく、勢力が最も弱い台風です。8月24日8時に発生したばかりで、最大風力はまだ8です。これからさらに弱まる見込みで、今のところ大きな影響は出ていません。ただ、気象専門家は、台風21号が台風18号に影響を与える可能性があるとみています。2つの台風が近づくと、互いに動きや勢力に影響し合うことがあり、これを藤原効果と呼びます。 この影響で、台風21号が持つ湿った空気が台風18号に流れ込み、台風18号が東シナ海に入った後の進路や強さが変わるおそれがあります。場合によっては、台風21号が大きな雲の渦に取り込まれる可能性もあるとみられています。
中国の気象当局は24日10時の時点で、台風に関する青色警報、大雨の黄色警報、さらに突発的な雷雨や突風に関する青色警報を引き続き発表しています。台風19号による雨はなお続いており、勢力が弱まった台風20号についても、局地的に悪天候をもたらすおそれがあります。さらに警戒が必要なのは、台風18号が27日ごろに華東沿岸へ上陸するとみられる前後の数日間です。
(翻訳・吉原木子)
