轟音とともに、きのこ雲が空高く立ち上りました。十数棟の住宅は一瞬にして窓やドアが吹き飛び、地面には砕け散ったガラスが散乱し、車は大きく変形しました。原因は単なる「漁用の爆発物」による事故だったとの説明もあります。しかし、もしわずか数個の漁用爆薬だったのなら、なぜ住宅一帯が廃墟のようになるほどの被害が出たのでしょうか。死傷者が本当に数人だけだったのなら、なぜ三級甲等病院の救急外来が血まみれの負傷者であふれ、すべての救急車を出動させても足りなかったのでしょうか。
8月21日午後3時38分、山東省臨沂市(りんぎし)沂河新区(ぎがしんく)で、激しい爆発音が静寂を破りました。爆発地点は16号棟と20号棟の間に挟まれた独立した平屋の住宅で、一瞬にして跡形もなく破壊され、がれきだけが残りました。隣接する2棟の住宅はまともに衝撃波を受け、窓やドアが吹き飛び、低層階のベランダ部分は一面にわたって消失し、外壁も複数箇所で崩れました。爆発の衝撃波は建物内部まで突き抜け、数階分の部屋を吹き飛ばし、外から見ると黒い穴のような窓だけが残っていました。地上では、複数の車が衝撃波で車体をへこませたり、建物の残骸に直撃されて大破したりし、横転している車もありました。
ネット上に出回った動画によると、事故後、現場には複数の救急車が停まり、病院には全身にけがを負った住民が多数いました。救急外来について「人であふれ、血だらけだった」と話す人もおり、臨沂市第三人民病院の救急車だけでは対応しきれないほどだったといいます。ある住民は、轟音を聞いた時には雷だと思ったものの、その後の衝撃で自宅のガラスが割れ、自分も腕を破片で切り傷を負ったことで、初めて何かが起きたと気づいたと振り返っています。
では、いったい何がこの大爆発を引き起こしたのでしょうか。
当初、ネット上では、住宅の敷地内に大量のガスボンベが置かれていたとの情報が流れました。しかし、この説明にはすぐに疑問の声が上がりました。多くのネットユーザーが、ガスボンベの爆発だけでこれほどの威力になるはずがないと指摘したのです。その後、今度は敷地内に保管されていたのは危険な化学物質だったとの情報も出てきました。
そして、外部から特に疑問視されたのが、この平屋住宅の実態をめぐる情報です。中国のメディアは、事故が起きた平屋は「立ち退き対象世帯」だったと伝えました。現地のネットユーザーからはさらに、「立ち退きを拒否していた世帯」で、家主が「爆薬を使って自分で建物を爆破した」との情報も出ています。臨沂市の住民、周さんは『大紀元』に対し、事故が起きた地区はもともと村であり、多くの平屋はすでに取り壊され、集合住宅に建て替えられていたものの、この平屋の敷地だけが残され、一部の部屋は貸し出されていたと話しました。その「立ち退き拒否世帯」は、被害が最も深刻だった2棟の住宅の間に挟まれており、現在は完全に吹き飛んで跡形もないといいます。
さらに世論を大きく揺さぶったのが、現地の消防関係者によるものとされる情報です。8月22日、海外のSNS上で、あるブロガーがこの消防関係者の話として伝えたところによると、この「立ち退き拒否世帯」は生活できないほど追い詰められ、家の中に置かれていた大量のガスボンベの栓をすべて開けて火をつけた後、さらに天然ガスの配管にも引火して大爆発につながったといいます。平屋だけでなく、両側の集合住宅も深刻な被害を受け、死者は123人に上り、さらに33人が負傷したとの情報も伝えられました。この情報では、当局は当初「死傷者はいない」と発表した後、「1人負傷、5人経過観察」と説明を変更したともされています。情報提供者はこう嘆いています。「俺たち庶民は本当に哀れだよ。人が死んでも数字にすら数えられないんだ!」
一方、公式発表そのものが繰り返し修正されていることも、この事件への疑念を深めています。爆発が起きた当日、現地消防当局は一時、事故は午後3時38分に発生し、現場で死者はおらず、負傷者は病院に搬送されたものの、いずれも命に別状はないと発表しました。しかし、この発表は間もなく公式サイトから削除されました。
その日の夜になると、沂河新区政府は新たな発表を行い、それまでの説明を覆し、1人が死亡、2人が行方不明となり、その他の負傷者は病院に搬送されたものの命に別状はないとしました。この発表では初めて、初期調査の結果、敷地を借りていた「王さん」が、漁に使う爆発物を違法に保管していたことが爆発を引き起こした疑いがあると説明しました。一方で、現地の街道弁事処の職員はメディアに対し、また別の説明をしています。平屋に住んでいたのは立ち退き対象者で、室内には可燃性や爆発性のある物品が保管されていた可能性があるというのです。
わずか1日の間に、死傷者数は何度も変わり、爆発原因についても複数の説明が出されました。あるネットユーザーは、山東省臨沂市のこの大爆発では巨大なきのこ雲が立ち上り、十数棟の建物が程度の差こそあれ損傷したとして、「ほんのわずかな漁用爆発物で、これほどの威力が出るのか?あなたは信じますか?」と疑問を呈しました。また、中国の国営メディアによれば死者はわずか3人で、大した事故ではないように見えるが、「建物はまるで戦争が起きた後のようだ」と皮肉る声もあります。
もしこれが単独で起きた偶発的な事故だったなら、公式発表の数字を疑う人は、それほど多くなかったのかもしれません。しかし、時間を3か月前までさかのぼると、同じような展開は、今回が初めてではなかったように見えてきます。
今年5月4日、湖南省瀏陽市(りゅうようし)にある花火製造会社の作業場で爆発が発生しました。新華社通信、CCTVニュース、『新京報』の報道によると、当局が発表した死傷者数は26人死亡、61人負傷でした。しかし事故翌日、同じXのブロガー「羅翔——破幕推牆」が瀏陽市の消防関係者からの情報として伝えたところによると、当時作業場で勤務していた130人余りは全員死亡し、隣接する町もほぼ壊滅状態となり、事故全体の死者はおよそ450人、負傷者は300人を超えると推定され、当局発表を大幅に上回っていたといいます。
この消防関係者はさらに、爆発を起こしたのは20年間にわたって陳情を続けながら、問題が一向に解決されなかった高齢の陳情者だったとも話しています。土地収用問題をめぐって拘束や暴行を受け、妻は長年にわたる脅迫に耐えられず亡くなり、息子もその影響で精神に異常をきたしたとされています。
瀏陽市の花火工場から臨沂市の集合住宅まで、当局が発表した死傷者数は、そのたびに現場の状況と大きくかけ離れているとの指摘が出ています。そして毎回、原因は特定の「個人」に帰されています。これらの情報が事実なのかどうか、外部から確認する手段は今もありません。確かなのは、公式発表が今も修正され続け、民衆の疑問も収まっていないということです。
(翻訳・藍彧)
