独記者、台湾の阿里山で中国スパイに尾行される.
「台湾・阿里山で独記者を尾行する中国人スパイ(イメージ図、ChatGPT AI生成)」

 中国共産党の情報機関について長年にわたり綿密な研究を行ってきたドイツのベテラン記者兼作家、周勁恒(Jürgen Kremb)氏は、現在、台湾の東呉大学人権研究所で客員研究員を務めている。同氏は、嘉義の阿里山へ旅行に行った際、中国共産党の女性スパイとみられる人物から、プロ並みの尾行や監視を受けたことを明かした。

 カナダ台北貿易事務所は16日、Facebookで動画を公開した。その中で、周勁恒氏は台湾メディア「Taiwan Plus」の取材に対し、中国共産党による台湾へのスパイ活動に関する報告書を作成していた時期に、友人と共に嘉義の阿里山へ旅行に行った際、ある若いアジア系の女性が自ら近づいてきて話しかけてきたと語った。周勁恒氏は、相手の訛りが台湾訛りではなく、中国北部の訛りが極めて顕著であることに即座に気づいた。

 さらに驚くべきことに、周勁恒氏一行が宿泊先のホテルに戻って間もなく、その女性がすでにロビーに座っており、しかも同行者のすぐ隣にいた。周勁恒氏は直ちに警戒し、友人に「もう電話はやめて。彼女は中国からの諜報員だ」と警告した。友人は当初半信半疑だったが、周勁恒氏は自身がドイツの雑誌の編集長を務めた経験があり、中国に長年駐在していた経験から、こうした人物を即座に見分けられると強調した。

 事件発生後、周勁恒氏は直ちに法務部調査局にこの件を報告した。調査局が防犯カメラの映像を確認したところ、その女性は当該ホテルに宿泊していなかったことが判明した。映像によると、その女性の尾行の手口はプロ並みで、周勁恒氏一行を最初から最後まで尾行し、車の後ろに隠れたり、街角に身を潜めたりしながら、最終的にはホテルのロビーまでついてきた。調査局が捜査に乗り出した後、その女性は2日以内に台湾を急遽立ち去った。

 周勁恒氏は、長年にわたり中国の情報機関、アジアの地政学、および両岸関係を研究しており、ドイツの情報機関に関する著書も出版している。同氏は、かつて中国に駐在していた期間、毎日尾行や脅迫にさらされ、最終的には信頼できる情報源を掌握したことを理由に国外追放されたため、中国共産党の情報活動の仕組みを熟知していると述べている。

 周勁恒氏は、「今、台湾でこの光景をこの目で見て、まるで警告のように感じられ、かなり驚いた」と率直に語った。

 調査局は、本件が、中国共産党がすでに世界規模で越境的な弾圧を実施しており、その対象が中国人や台湾人に限定されないことを改めて証明していると強調した。共産主義の極権体制に反対し、民主主義、自由、人権を追求する者であれば、誰でも中国共産党による攻撃や弾圧の対象となり得る。調査局は、各民主主義同盟国との法執行協力を引き続き深化させ、中国共産党による「長腕管轄」および越境的な弾圧に対抗していくとしている。

 中央社の報道によると、民進党の庄瑞雄幹事長は18日午前の記者会見で、中国共産党は以前から世界各地で反体制派やジャーナリストに対する監視を行ってきたが、「今回はさらに甚だしい」とし、その手は台湾や阿里山にまで及んでおり、その目的は「至る所に存在する」ような萎縮効果を生み出すことにあると述べた。同氏は、台湾は民主主義国家であるものの、民主主義だからといって国家安全保障の「門戸を全開」にしておいてよいわけではなく、政府には対応する責任があり、どのように阻止するかを検討しなければならないと強調した。

(翻訳・文遠)