台風13号は上陸後に熱帯低気圧へと変わりましたが、雨雲がその後も停滞し、中国河南省では8月10日から広い範囲で激しい雨が降り続きました。

 複数の川で増水が続き、8月12日夜,平頂山市郟県を流れる北汝河では、左岸の堤防が最初に決壊しました。堤防が決壊した幅は約47.5メートルに及び、水は下流の村や農地に流れ込みました。現地では2000人を超える住民が、夜通し避難しました。翌日には許昌市鄢陵県を流れる清潩河でも十数メートルの決壊が発生し、現地は急遽、全長1キロに及ぶ仮設堤防を築いて浸水を食い止めました。同じ夜、周口市区を流れる賈魯河でも東岸の堤防が決壊しました。決壊した幅は当初約30メートルでしたが、激しい水の流れで最終的には110メートル余りに広がりました。

 堤防の決壊した場所から水が市街地に流れ込み、周口市第五人民医院や自動車教習所、周口職業技術学院が次々と浸水しました。このため、入院患者や医療従事者、学生など数百人が夜間の避難を余儀なくされました。

 3カ所の決壊はその後、数日かけて順次ふさがりましたが、市街地の冠水は解消していません。当局によると、周口市中心部では一時、20カ所以上で冠水が確認され、浸水面積は50万平方メートルを超えました。団地30カ所でも浸水が発生し、一部では停電も起きました。死傷者の状況は、今のところ不明です。

 市街地の冠水以上に深刻なのが、農地や農家への被害です。周口市川匯区で農業を営む張さんは、あと1カ月ほどで収穫できるはずだったおよそ6.7ヘクタールのトウモロコシ畑が、一面水に浸かったといいます。張さんは「もう手の施しようがない。水は川からあふれてきたもので、逃げ場もない」と話しました。

 西華県で農業を営む王さんによると、トウモロコシや落花生、大豆、ササゲなどの作物は4日から5日間にわたって水につかり、根や茎はすでに腐り始めているといいます。こうした被害を受けた農家には、今のところ補助金や補償は一切支払われていません。なかでも、トウガラシや葉タバコといった販売用作物の被害は特に深刻です。

 西華県の別の住民も、自宅の数十ヘクタールの畑が水没し「トウモロコシ畑が見渡す限り水に浸かっている」と語りました。また、地元でササゲの育苗を手がける企業の責任者によれば、数ヘクタールの試験用農地が水浸しになり、損失は数千万円台から1億円前後に達する可能性があるといいます。

 畜産業も大きな被害を受けました。ある養豚農家によると、自宅の養豚場は4日間にわたって洪水の被害に見舞われ、およそ200頭の豚が長時間水に浸かって衰弱していったといいます。食料や飼育設備、住居、農作物にも被害が及びました。農家は「市や県、郷に何度も電話をかけたが、一昨日からずっと誰も対応してくれない。村の男たちは自分のことで手一杯だ」と訴えました。

 被害が最も深刻だったのは漯河市舞陽県です。、上流の許昌市と周口市を守るため、8月13日未明に泥河洼遊水地が使用され、蓮花鎮や北舞渡鎮など周辺農村部では合わせて約1万700ヘクタールの優良農地が水没しました。収穫間近だった秋の穀物はほぼ全滅しました。8月19日の時点でも、周口市周辺の農村や農地では水がなかなか引かず、広い範囲で収穫が見込みない状況が続いています。住民は自力で収穫作業を続けるしかありません。河南省で浸水被害が続くなか、そこから1000キロ余り離れた雲南省昆明市でも、8月18日未明に突然の集中豪雨が発生しました。

 強い雨は官渡区や盤龍区に集中し、1時間の雨量は最大で80ミリを超えました。昆明市気象台は、中国で最も高い警戒レベルの大雨赤色警報を出しました。市中心部では、複数の道路やアンダーパスで深刻な冠水が発生しました。なかでも民航路長潤街のアンダーパスでは、最も深いところで一時7メートルから8メートルに達したとされています。

 近くの高圧線も水につかり、現場では作業員が規制線を張って住民が近づかないようにしました。18日午前8時の時点で、昆明市の消防にはすでに冠水に関する通報が53件寄せられていました。消防は累計412人と車両92台、ボート47艇を出動させ、孤立していた市民47人を救助し避難させました。市中心部では一時、12カ所の冠水地点で交通規制も行われました。

(翻訳・吉原木子)