世界の通信網を脅かす中国共産党 海底ケーブル監視と切断技術の実態.
海底ケーブルの模式図(ChatGPT AI 生成)

 著名な海事分析プラットフォーム「ウィンドワード(Windward)」が最近追跡したデータによると、中国共産党の旗を掲げた研究船1隻が、低速でうろつくように航行しながら、米国、台湾、フィリピンを結ぶ太平洋光ケーブルネットワーク(Pacific Light Cable Network)の上に長時間留まっていたことが判明した。

 ウィンドワードは、海事分野における人工知能(AI)および予測インテリジェンスの分野で世界をリードする企業であり、多源データと生成AI技術を融合させることで、世界中の船舶の動向およびリスク管理に関するリアルタイム分析を提供している。

 この海底光ケーブルシステムはフィリピン海(Philippine Sea)に敷設されており、全長は約1万2800キロメートルである。世界の大陸間インターネット通信の約99%は、この種の海底ケーブルによる伝送に依存している。

 ウィンドワード社の専門家によると、海底ケーブル自体は動くことはないため、船舶がその上を長時間低速でうろついていることは、海洋諜報活動における最も典型的な兆候の一つであるという。

 2020年、太平洋海底ケーブル網は地政学上の焦点となった。当時、米国の規制当局は国家安全保障上の懸念から、米国のデータが中国共産党の情報機関によって監視される可能性を懸念し、当初予定されていた香港への接続計画を中止した。その後、このプロジェクトは米国、台湾、フィリピンだけを接続するものへと変更された。

 注目すべきは、中国共産党の船が敏感な海域に現れたのは今回が初めてではないという点だ。ウィンドワードは報告書の中で船名や海上移動業務識別番号(MMSI)を伏せているものの、この船が以前にも西沙諸島(パラセル諸島)や南沙諸島(スプラトリー諸島)の近海に何度も出現していると指摘している。両地域はいずれも中国とベトナム、フィリピンなど複数の国との間で主権紛争が継続中である。また、その航跡はベンガル湾(Bay of Bengal)やスリランカ(Sri Lanka)近海にまで及んでいた。

 北京は一貫して否定しているものの、外部では、北京が「軍民融合」政策を推進していることから、中国の科学研究機関の船舶が収集したデータは軍に提供されている可能性が極めて高いと見られている。

 情報収集に加え、中国共産党は近年、海底ケーブルに対する物理的破壊能力においても注目を集めている。中国国家知識産権局のデータによると、2020年5月29日、中国当局は特許番号CN111203499A「海底ケーブル切断装置およびその切断方法」の特許明細書を公表した。この文書では、船の錨に切断刃を取り付け、曳航船の錨が海上で航行する際に海底光ケーブルを迅速に切断する方法が説明されている。明細書によると、この技術は切断速度が速く、切断時に曳航船が航行を停止する必要がないため、極めて高い隠密性を有しているという。しかし、複雑な地形や海底海流の変化により、切断刃を取り付けた船の錨が、滑走のたびに確実にケーブルを引っ掛けて切断できるとは限らない。

 近年、関連技術は特許段階から実際の研究開発へと移行している。香港の『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が3月22日に報じたところによると、中国の科学者らがコンパクトな深海用ケーブル切断ツールを公開した。この装置は、中国船舶科学研究センター(CSSRC)およびその傘下の「深海有人装備国家重点実験室」によって開発されたもので、外層が鋼、ゴム、ポリマーで被覆された「装甲ケーブル」の切断に使用できる。

 同プロジェクトのリーダーである胡浩龍氏とそのチームが2月24日に学術誌『機械工学』に発表した論文によると、この装置は水深4000メートルの海底において、400気圧を超える水圧という極限条件下でも、最も堅牢な海底通信・電力ケーブルを切断することができるという。

 テクノロジーサイト「Interesting Engineering」の報道によると、米軍は太平洋のグアム近海に重要なデータ通信ハブを保有している。米国の「第二列島線」戦略の重要な一環として、グアムには10本以上の海底光ファイバーケーブルが敷設されており、米軍やグーグルなどの民間ユーザーにサービスを提供している。『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙もこれについて警告を発している。もしグアムのような戦略的要衝付近でケーブルが切断されれば、地政学的危機を引き起こし、国際通信に深刻な影響を及ぼしかねない。

 こうした懸念は決して根拠のないものではない。2024年11月17日、スウェーデンのゴットランド島とリトアニアを結ぶ「アレリオン」海底ケーブルが損傷された。翌日、ヘルシンキとドイツのロストック港を結ぶ「C-Lion 1」海底ケーブルが切断され、中国籍の船舶「イーポン3号」がこれら2本の海底ケーブルを破壊した疑いが持たれている。

 2025年1月、台湾北部の基隆港沖で海底通信ケーブルが損傷し、事件に関与した船舶はカメルーン国旗を掲げた中国の貨物船であると指摘された。2025年2月、台南沖にある台澎第3海底ケーブルが切断され、事件に関与した船舶は「中国資本が関与している」とされるトーゴ籍の貨物船「宏泰号」であった。

 『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙の報道によると、中国は現在、世界最大の有人・無人潜水艇艦隊を保有しており、世界のほとんどの海域に到達することができるという。先月、中国は南シナ海の海底で水深2000メートルに基地の建設を開始し、少なくとも6人が1ヶ月間長期滞在できる計画だ。これに対し、米国の深海艦隊は老朽化の問題に直面している。また、日本唯一の有人潜水調査船「しんかい6500」も数年後に退役する見込みであり、後継機がない状況にある。

 重要な海底ケーブルの上を徘徊する調査船から、実戦能力を備えた深海用切断装置、さらには中国籍船舶を標的とした一連のケーブル切断事件に至るまで、こうした一連の動きは、世界的な海底通信インフラに対する中国共産党の介入能力が日増しに高まっていることを浮き彫りにしており、米国や台湾などの国家安全保障当局は警戒を強めている。

(翻訳・文遠)