中国で火災が相次いでいます。9月23日朝、浙江省杭州市西湖区の高層マンションで、1階の電動バイク置き場から火が出ました。現場では何度も爆発音が響き、黒煙が建物全体を覆いました。当局によると死傷者は出ていないということですが、消防の到着が遅かったという不満の声も上がっています。その2日前には、遼寧省盤錦市のマンションでも未明に低層階から出火し、2人が死亡、2人がけがをしました。

 SNSに投稿された情報や動画によると、杭州の火災はマンション1階の電動バイク置き場が火元とみられています。平日の朝、出勤や通学の準備をしている時間帯のことでした。電動バイクが次々と燃え上がり、炎が1階から噴き出すと、煙は下から上へと一気に広がり、建物全体を包み込みました。遠くから見ると、黒煙に飲み込まれたマンションはまるで真っ黒な柱のようで、目を疑うような光景です。逃げ遅れた住民たちは煙の立ち込める廊下に集まり、手で口と鼻を押さえながら救助を待っていました。

 あるSNSユーザーは、燃えたのはマンションの電動バイク置き場だとしたうえで、「警備員が言うには、電話してから消防車が来るまで20分もかかったって。消防に苦情入れるってさ」と投稿しています。

 杭州市の消防当局はその後、火災は当日午前7時29分に発生し、7時50分ごろに消し止められ、死傷者はいなかったと発表しました。発表どおりであれば、出火から鎮火までは約20分です。ただ、ネット上に出回っている動画を見る限り、煙はあっという間に建物の上のほうまで達しており、中にいた住民にとっては生きた心地のしない20分だったことでしょう。

 ネット上では、この発表に疑問を抱く人も少なくありません。江蘇省のネットユーザーは「20分って、電動バイク1台がちょうど燃え尽きる時間じゃん。消防が着いた頃にはもう何も残ってないよ」「軍隊以外はなんでも外注だよ。消防士も外注で、しかもプロなんてほとんどいない」と不満をこぼしています。「あれだけ燃えて死傷者ゼロ?煙が人をよけてくれたとでも?」と首をかしげる声もあります。

 また、火元は1階のピロティ部分で、そもそもピロティには電動バイクを置くことが禁止されているため、今回の火災は明らかに人災だと指摘する人もいます。「リチウム電池が熱暴走したら最初の数分が勝負。消火器を持ってくるのがちょっとでも遅れたらもう手遅れ。黒煙は毒ガスだらけだし、お年寄りや子どもはまず耐えられないよ」という声もありました。

 中国では、電動バイクは通勤や買い物、フードデリバリーなどに欠かせない庶民の足として広く普及しています。その一方で、バッテリーの発火による火災がたびたび問題になっており、高層住宅の廊下や階段、避難通路といった共用部分に電動バイクを置いたり充電したりすることは規定で禁止されています。それでも、置き場所や充電できる場所が足りず、ルールが守られていないケースは少なくないといわれています。

 遼寧省盤錦市の火災も、低層階からの出火でした。地元の消防当局によると、9月21日午前2時16分、盤錦市興隆台区のマンションの202号室で火災が発生し、3時25分に消し止められました。住民の多くが寝静まっていた深夜のことで、立ち込めた煙が上の階へと広がり、同じ棟の502号室で2人が死亡、2人がけがをしました。現在、火災の責任を問われている2人が警察に身柄を拘束されています。

 2階から出火したにもかかわらず、死傷者はすべて5階に集中しており、「低層階で出火し、高層階で死者が出る」典型的なケースだという分析もあります。火災で発生する一酸化炭素やシアン化水素などの有毒ガスは、階段を伝って上へと昇っていきます。502号室の住人が犠牲になったのは、慌ててドアを開けて階段で下へ逃げようとしたところ、高温の有毒な煙が充満した階段に入り込んでしまったためとみられています。

 さらにその前には、広東省でも死者を出す火災が起きています。9月20日午後3時ごろ、広東省順徳にある繊維会社の工場で火災が発生しました。燃えたのはレンガ造りの2階建ての建物で、複数の業者が借りてジーンズのウォッシュ加工などを行っていました。焼けたのは約200平方メートルとそれほど広くないにもかかわらず、8人が死亡、1人がけがをするという痛ましい火災となりました。

 9月19日午前には、中国の美術大学、魯迅美術学院の大連キャンパスでも、学生寮の一室から出火しました。原因はわかっていません。同じ大学の学生によると、火が出たのは3号棟3階の部屋で、まだ寝ていた学生もいたそうです。外からの叫び声で目を覚ましたときには、廊下にはもう煙が充満していたといいます。この学生は「なんか爆発したみたいで、すごく大きな音がした。モバイルバッテリーが爆発したって言ってる子もいたよ」と話しています。

 相次ぐ火災を受けて、Xでは「中国じゃ暮らしに安心感がないだけじゃなくて、正義を訴える道まで完全にふさがれてる」と嘆く声が上がっています。「どんな建材を使ったか聞くな、業者は誰か聞くな、誰が許可を出したか聞くな、どこの部署の責任か聞くな……」という皮肉まじりの投稿や、「社会への報復を狙った無差別事件が、今度はピンポイントの破壊工作に変わったってこと?」と勘ぐる声もあります。中には「国じゅうあちこちで火の手が上がってるね」と書き込む人もいました。

(翻訳・吉原木子)