ウガンダの首都カンパラでは、9月から12月にかけて雨の多い時期が続きます。そんななか、中国企業が工事を進める道路を視察していた市長が、排水路の一部を「基準を満たしていない」と判断し、造り直しを命じました。
市長のロナルド・バリムウェゾ氏は、政治家になる前は土木技術者でした。9月19日にサラーマ道路の現場を訪れた際、排水路が雨水をうまく流せる造りになっていないことに気づき、「水がちゃんと流れなかったら路面にたまって、道路が傷むし、近くに住んでいる人たちにも影響が出ます」と指摘しました。
業者はすぐに問題の部分を造り直し、市長は再び現場で仕上がりを確かめました。業者が応じたことには感謝しつつも、「品質にはこれからもこだわりますよ。税金を払っている市民には、それに見合ったものを受け取る権利があるんですから」とくぎを刺しました。
カンパラ市の資料によると、この道路はアフリカ開発銀行の支援事業で、中国の国有企業、中国鉄建傘下の中鉄十八局集団が施工しています。2025年末の完成予定を9か月過ぎた今も、工事は続いています。
今回は、専門知識を持つ市長が自分の目で確かめたことで、使われる前に問題が見つかりました。実はウガンダでは、中国企業の工事をめぐって、これまでにも苦い経験を重ねてきました。
国内最大のカルマ水力発電所は、同じく国有企業の中国電力建設集団(パワーチャイナ)傘下のシノハイドロが建設しました。着工から2年もたたないうちに、洪水吐き(ダムから余分な水を流す設備)のコンクリートにひび割れが見つかり、2016年にはシノハイドロの専門家チームも施工の欠陥を認めています。60か月の予定だった工期は、結局11年に延びました。
上流のイシンバ水力発電所は、中国水利電力対外公司が中心となって建設しました。2019年の稼働後は故障が相次ぎ、ウガンダ発電公社は500か所を超える施工上の欠陥を確認したとしています。2022年には洪水吐きにも欠陥が見つかりましたが、業者は2025年に入っても補修に着手していませんでした。発電公社のトップは議会で、決壊すれば下流の住民に壊滅的な被害が出ると警告しています。
どちらも中国輸出入銀行の融資で建てられ、カルマでは、まだ発電していない段階から返済が始まりました。発電公社のトップは以前、「やり直さなきゃいけない工事があるって、業者には何度も言ってきました。でも言うたびに、もっとお金を出せと言ってくるんです」と不満を漏らしています。
ウガンダの例では、少なくとも問題は現場で見つかっていました。一方で、大きな災害が起きるまで、欠陥が誰にも気づかれなかった工事もあります。
2025年3月28日、ミャンマーでマグニチュード7.7の大地震が起き、1000キロ以上離れたタイの首都バンコクも大きく揺れました。高層ビルが立ち並ぶこの街で、崩れ落ちたビルはたった1棟でした。国有大手、中国中鉄傘下の中鉄十局のタイ法人が、タイの大手建設会社と組んで建てていた30階建ての国家会計検査院の新庁舎です。周りのビルが揺れに耐えるなか、この建物だけが真下へ崩れ落ち、作業員ら96人が犠牲になりました。
タイ政府の調査では、揺れを受け止めるはずのエレベーターシャフトなどの壁に、設計と施工の両面で欠陥があったことがわかり、技術者の署名の偽造も判明しました。倒壊の直後には、業者と関係のある中国人従業員4人が、立ち入り禁止の現場から工事書類32点を持ち出そうとして警察に止められています。タイの検察は2025年8月、中鉄十局のタイ法人やその中国人幹部ら23人を業務上過失致死などの罪で起訴しました。中国のネット上では、この倒壊をめぐる議論が検閲されたと報じられています。
南米エクアドルでは、中国の融資でシノハイドロが建設したコカ・コド・シンクレア水力発電所で、2016年の稼働後、タービンに水を送る設備に7500か所を超える亀裂が見つかりました。承認されていない資材の使用や溶接の不良が指摘され、国際仲裁を経て、中国側が2億ドルの補償金を支払う形で正式に引き渡されたのは、稼働からほぼ10年後の今年4月です。
日本にとって無関係ではない例もあります。インドネシアのジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道は、2015年に新幹線方式を売り込んだ日本と中国が受注を争い、インドネシア政府に資金負担を求めない案を出した中国が受注しました。ところが工事は遅れ、約12億ドルの追加費用で総事業費は72億7000万ドルに膨らみました。その75%は中国からの借り入れです。利用者も見込みを大きく下回り、インドネシア政府は現在、中国側と債務の再編を交渉しています。施工の品質とは別の話ですが、政府の負担はないはずだった事業が、国の財政を圧迫しかねない状況です。
中国では、手抜き工事のことを「おから工事」と呼びます。バリムウェゾ市長は住民に対し、身近な工事におかしなところがあれば声を上げてほしいと呼びかけています。技術者の目を持つ市長が現場にいたことは、カンパラの人々にとって幸運だったのかもしれません。
(翻訳・吉原木子)
