三峡ダムの底部では現在、1時間あたり30立方メートルの水が漏れ出しているといいます。ところが、ダムを管理する幹部らはすでに家族を連れ、「他地域での研修」を理由に早々と現地を離れ、残された職員には「持ち場を守れ」と命じられているといいます。ある内部関係者は、こう訴えています。「私たちは使い捨て用品のように扱われている」

 これは、いたずらに不安をあおる話ではありません。最近、三峡ダムの内部職員を名乗る人物が海外に寄せた投稿で明かされた内幕です。この投稿は同時に、別の災害で隠されているとされる実態にも触れています。広西チワン族自治区横州市(おうしゅうし)で発生したダム決壊の死者数について、公式発表は実際の数字のごく一部にすぎない可能性があるというのです。

 今年7月6日、台風10号がもたらした大雨により、広西チワン族自治区横州市では、24時間雨量が観測史上最多を更新しました。六藍(ろくらん)ダムでは堤体の2か所が決壊し、洪水が下流の雲表鎮(うんぴょうちん)や校椅鎮(こういちん)などに一気に流れ込み、これらの地域は今回の洪水で最も大きな被害を受けました。

 中国当局の発表によると、今回の洪水では39人が死亡し、9人が行方不明となりました。このうち六藍ダムの決壊による被害は、死者26人、行方不明者7人で、全死者数の3分の2以上を占めています。しかし、その後、当局はこの数字を一度も更新していません。

 ところが7月20日、中国社会の突発事件を長年追っているブロガー「羅翔・破幕推牆」が、三峡ダムの内部職員を名乗る人物から寄せられたという情報を公開しました。そこには、公式発表とは全く異なる実態が記されていました。横州市の実際の死者数は、1万7000人を超えているというのです。

 なぜ、公式発表と内部告発で示された数字には、これほど大きな差があるのでしょうか。投稿者が示した答えは、徹底した隠蔽が行われているというものでした。

 投稿によると、現在、現地では警察が見張りに立ち、部外者の被災地への立ち入りを禁止しています。その理由について投稿は、被災地に遺体が積み重なっている光景を外部に見られないようにするためだとしています。こうした状況が外部から来た救援関係者に知られれば、地元当局者は職を失うだけでなく、刑事責任を追及される可能性もあります。そのため、被災地に駆けつけた他地域の救援隊まで、現地への立ち入りを拒まれているというのです。

 当局がダムの放流を事前に知らせなかった理由についても、投稿では冷酷ともいえる説明が示されています。事前に知らせれば、避難した住民の受け入れや生活支援に巨額の費用が必要になります。知らせなければ、かえって「手間がかからない」というのです。これが地元当局者の間の暗黙の了解だったとしています。

 では、避難の知らせを受け取れなかった人々の遺体は、どのように処理されたのでしょうか。投稿によると、当初は燃料を使って遺体を現地で焼却していましたが、処理に時間がかかるうえ、黒い煙が大量に出て人目につきやすいため、強力な酸を使った処理に切り替えたといいます。大量の遺体を埋めた場合に感染症が発生する危険や、後に決定的な証拠が残ることを避けるためだとしています。

 これらの情報は、現時点ではいずれも第三者による確認が取れていません。しかし、ネット上では、「遺体袋250枚」と記された物資の配分表が拡散しています。この書類には当初「200枚」と記されていましたが、「200枚」が消され、「250枚」に書き換えられていました。しかも、これは横州市雲表鎮だけで必要とされた量です。公式発表の死者数と実際に必要とされた物資の量が大きく食い違っていることを示す、もう一つの証拠ではないかと受け止められています。

 『大紀元』の記者が最近、雲表鎮などの被害が深刻な地域を取材したところ、複数の住民が、実際の死者数は「最低でも1000人だ」「住民が丸ごといなくなった村もある」と証言しました。これは、当局が発表した死者数とは大きく異なりますが、内部告発者の話には比較的近い内容です。

 一つの地方ダムが決壊しただけでも、これほど大規模な被害と隠蔽が起きるのだとすれば、その数百倍から数千倍もの貯水量を持つ三峡ダムで事故が起きた場合、いったいどのような事態になるのでしょうか。

 投稿者は、三峡ダムの決壊について「時間の問題だ」と断言しています。ひとたび決壊すれば、死者数は桁違いに増え、影響を受ける人口は少なくとも4億7000万人に達するとしています。

 あるネットユーザーがAIに、三峡ダムが決壊した場合にどの都市が被害を受けるのかを尋ねたところ、湖北省、湖南省、安徽省、江西省、江蘇省、上海市など、少なくとも6つの省・市にまたがる長江沿岸地域が水没するとの回答が示されました。

 ダムからわずか36キロの距離にある湖北省宜昌市(ぎしょうし)には、約1時間で洪水が到達し、その後、濁流は荊州市、武漢市、南京市を次々とのみ込み、上海市の長江河口まで達するとされています。

 投稿ではさらに、昨年、中国政府が拠出した約31兆円(1.28兆元)の治水事業費についても触れています。この資金は各段階で次々と中抜きされ、最終的に現場へ届いたのは、全体の1割から2割ほどだったといいます。投稿者は、こう書き残しています。「これは自然災害ではない。人災だ」

 これらの内部告発は、現時点では当局や第三者による確認が取れていません。しかし、三峡ダムの安全性をめぐる懸念は、全く根拠のないものではありません。

 今年の洪水期に入ってから、豪雨をもたらす雨雲が10以上の省を通過しました。6月1日には、三峡ダム上流側の水位が、洪水対策のために定められた上限を一時9メートル以上も超えました。

 7月18日には、新華社通信が異例にも、三峡ダムで「位置のずれ、漏水、変形」などが確認されていることを認めました。ただし、いずれも「正常な範囲内だ」と説明するだけで、具体的な数値は公表していません。一方、中国工程院の王浩や、三峡グループの主任技術者である張曙光などは、これまでと変わらず、ダム本体に問題はないと主張しています。

 実際、三峡ダムをめぐる論争は、建設計画が動き始めた当初から途絶えたことがありません。すでに亡くなった治水専門家の黄万里は生前、三峡ダムがもたらす12の壊滅的な影響を予測していました。その中には、下流の主要堤防や川岸の崩壊、住民移転をめぐる問題、生態環境の悪化、上流地域での水害の深刻化などが含まれています。外部では、このうち最初の11項目はすでに次々と現実になったとの見方が広がっています。残る最後の一つだけは、まだ起きていません。それは、三峡ダムを最終的に爆破せざるを得なくなるという予測です。

 三峡ダムが洪水を一時的にためるための容量は、221億5000万立方メートルにすぎません。これは、長江上流から年間に流れ込む水量の5%にも達しません。設計基準を超える極端な洪水が発生した場合、三峡ダムの洪水を調節する能力は、本当に当局が主張するほど「鉄壁」なのでしょうか。 

 長江中流域と下流域で暮らす数億人の住民にとって、三峡ダムの安全問題は、地方ダムの決壊よりもはるかに深刻で、逃げ場すらない巨大な脅威であることは明らかです。

(翻訳・藍彧)