詐欺帝国「太子グループ」、ナンバー2が日本で逮捕.
警視庁本部庁舎(っ, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 2026年6月14日、警視庁は捜査の結果、大阪の高級ホテルで「太子グループ」のナンバー2である胡小偉を、中国国籍の男性2人とともに逮捕した。3人は、住民票(電磁的公正証書原本)に虚偽の記載をし、これを利用して日本の永住権を取得しようとした疑いが持たれている。胡小偉は現在44歳、中国出身で、キプロスのパスポートを所持している。日本では「フー・シー(胡石)」の名で活動しており、他にも陳小二、胡晏銘など複数の偽名を使用し、東京都内の企業の代表取締役を務めていた。

 一見ありふれた文書偽造事件のように見えたが、そこから明らかになったのは、国境を越えた犯罪集団だった。2025年10月、米国財務省は、太子グループとその創設者である陳志が、大規模な国際的な通信詐欺、人身売買、国際的なマネーロンダリングなどの犯罪に関与していると発表し、同グループを「太子グループ国際犯罪組織」と認定した。陳志や胡小偉を含む146の個人および団体に対して制裁を科し、約12万7000枚のビットコインを押収した。当時の市場価格に基づく評価額は150億ドルにも上る。ニューヨーク東部地区連邦地方裁判所が公表した起訴状は、陳志がこの「ネット詐欺帝国」を企て、主導したとされている。2026年1月、陳志はカンボジアで逮捕され、その後、調査を受けるため中国へ送還された。中国共産党は非公開の審理を行い、判決文も公表しなかった。

 胡小偉は、陳志の側近として最も重要な「参謀」と見なされている。米国財務省は制裁発表の中で、胡小偉がカンボジア国外における太子グループの子会社の設立と監督を担当し、違法賭博に関与していたほか、陳志のために会社の名義人(ダミーの株主・取締役)を務めていたと指摘した。Xのプラットフォームに流れた情報によると、陳志が逮捕された当夜、胡小偉ら太子グループの幹部らはプライベートジェットで日本へ逃亡したとされ、その後行方が分からなくなっていたが、今回大阪で逮捕された。

 太子グループは、高額な給与を餌に、多国籍の被害者をカンボジアに誘い出し、その身柄を拘束した上で、国際的な通信詐欺活動に従事させている。詐欺のノルマを達成できない者は、激しい暴行を受け、場合によっては殴打されて死亡することさえある。米国財務省によると、2024年だけで、東南アジア発の詐欺活動により米国市民が被った被害額は少なくとも100億ドルに上ることが確認されている。

 米国在住の評論家、李沐陽氏は、起訴状によると、太子グループは長年にわたり、多数の国の政治的影響力を用いて自らの身を守り、各国の法執行機関の動向を監視するために「リスク管理」担当者を専任で配置しており、公務員への贈賄は同グループの「日常業務」となっていると指摘した。陳志は賄賂のやり取りを専門に記録した帳簿を持っており、その中には2019年に某高官のために300万米ドル余りのヨットを購入したことや、別の高官のために数百万米ドルの高級腕時計を購入したことも載っている。2020年、ある収賄官僚が陳志の外交パスポート取得を支援し、これにより彼は通常の出入国管理を回避することができた。李沐陽氏は、もし陳志が単なる詐欺犯に過ぎないならば、中国共産党が米中貿易戦争の重要な局面でこの件について米国側と交渉することはなかったはずだと指摘し、太子グループは実際には中国の法執行機関の一部を金で買収し、その利用権を確保していたと見ている。

 国際人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が今年2月に発表した報告書『中国での失踪』は、中国共産党政府が長年にわたり外国人を秘密裏に拘束し、彼らを「人質外交」の政治的手段として利用していると指摘している。同団体調査部門責任者のガードナー氏は、中国共産党政府による「人質外交」の明白な一例として、カナダで孟晩舟氏の釈放からわずか数時間後にカナダの「2人のマイケル」が釈放されたことを挙げている。一方、共同通信によると、複数の関係者が7月1日に明らかにしたところ、6月24日に判明した大連富士電機グループの日本人社員2名の拘束事件について、大連税関は6月に両者を正式に逮捕したと発表した。このタイミングは、胡小偉氏が日本で逮捕された直後であり、両事件に関連性があるかどうかについては、現時点では実証されておらず、今後の動向を見守る必要がある。

(翻訳・文遠)