中国への臓器移植を違法仲介した台湾の名医、医師免許を生涯剥奪
台湾彰化地方法院(彰化地裁)

 台湾の名医として知られる陳堯俐(ちん・ぎょうり)氏が、台湾の患者9人を中国本土へ違法に仲介し、肝臓や腎臓の移植手術を受けさせて高額な報酬を得ていたとして、『人体器官移植条例』違反の罪で有罪判決を受け、医師免許を剥奪された。生涯にわたり医療行為を禁じる処分であり、台湾では初の事例となる。

 陳氏は彰化地方法院(彰化地裁)に起訴され、検察側から禁錮6年を求刑されていた。台湾衛生福利部(保健省)の石崇良(せき・すうりょう)次長は6月2日、この処分が正式に確定したことを明らかにした。

 石氏は、「台湾の患者を海外へ連れて行き、臓器移植を受けさせる仲介行為は、医療倫理に著しく反しています。『人体器官移植条例』でも、医療従事者による仲介を明確に禁じています。重大な違反の場合、医師免許の剥奪処分となります。これは医事審議会での審議を経て最終的に決定されたもので、すでに処分は執行されています」と説明した。

 中国共産党による生きた人間からの臓器強制摘出をめぐっては、国際的な非難が続いている。こうした状況を受け、台湾国際臓器移植ケア協会は制度面からの管理強化を呼びかけている。台湾の医療体制がその共犯関係に陥ることを防ぎ、臓器提供元の透明性を確保するためだ。

 同協会の黄千峰(こう・せんぽう)副理事長は、「もし誰かが『中国ならすぐに臓器が見つかる』『すぐにマッチングできる』と言ってきたら、それは非常に危険な兆候です」と警鐘を鳴らした。さらに、「今回の件を、一人の医師による個別事例として終わらせるべきではありません。海外での移植に関する通報・監査制度、病院の管理体制の見直し、健康保険制度との連動、高リスク地域への規制など、台湾が制度的改革をどう進めるべきか、より踏み込んだ検討が必要です」と訴えた。

 陳氏は台湾の肝臓移植の名医であり、中山医学大学付設病院の元副院長でもある。2008年以降、長期にわたり台湾の患者を中国へ違法に仲介し、そこから数千万台湾ドルの仲介料を受け取っていた。彰化地方法院は昨年、9件の臓器移植共同仲介の罪により、陳氏に対し禁錮2年、執行猶予5年の有罪判決を下し、罰金500万台湾ドルと、犯罪収益1466万台湾ドルの没収を命じていた。

 また、陳氏が勤務していた彰化キリスト教病院も2022年以降、同氏との契約を更新していない。同病院は声明で、中国における臓器移植は提供元を追跡できないケースが多く、法輪功学習者や良心囚、キリスト教の牧師などから臓器が強制摘出されている実態を指摘し、人体の器官は絶対に売買されてはならず、その出所が明確でなければならないと強調した。

​​​​​​​(翻訳・黎宜明)