中国の教育制度は、以前から「抑圧的」「洗脳型」と批判されることが少なくありません。そんな中、ここ5年間で中国の小中学生の休学率が240%も急増していることが明らかになりました。さらに、休学理由の67%が情緒障害に関連しており、小中学生の「学校嫌い」の割合は73.3%にも達しているといいます。北京の教育関係者は、「子どもたちは完全に消耗している」と語っており、上海ではうつ病の発症率が全国で最も高い状況となっています。
最近、中国のQ&Aサイト「知乎」のアカウント「陶陶」が自身の体験を投稿しました。北京大学卒業後、北京で6年間、学習塾や受験指導の仕事に携わってきた人物です。
陶陶は、「毎年春になると、クラスから突然いなくなる子どもたちが出てくる」と語っています。最初は単なる欠席や転校、あるいは家で少し休んでいるだけだと思っていたそうです。しかし後になって、多くの子どもたちが北京安定医院の「休学外来」に集まっている現実を知ったといいます。
「北京の中学3年生の休学率がどれほど深刻か、想像もつかないかもしれない」と陶陶は話します。
北京市海淀区の一部の一般校では、39人いたクラスが、中学3年の後半になる頃には、毎日登校している生徒が10数人しか残っていないケースもあるそうです。残りの生徒たちは、うつ、不安障害、あるいは身体症状によって長期休学しているといいます。1クラスに7〜8人いても珍しくないとのことです。
ここでいう身体症状とは、精神的ストレスや不安、抑うつなど、心の苦痛をうまく表現できず、身体の不調として現れる状態を指します。頭痛、胸の圧迫感、胃腸の不調など、実際の身体症状として表れるのです。
陶陶によれば、さらに衝撃的なのは、こうした子どもたちが、いわゆる「問題児」ではないという点です。
タバコを吸うわけでもなく、喧嘩をするわけでもなく、不良グループに入っているわけでもない。ゲーム依存ですらありません。ある日突然学校へ行けなくなり、ベッドに横たわってスマホを見続け、疲れたらぼんやりする。ゲームにも、人付き合いにも興味を失い、まるで突然「電源が切れた」ような状態になるといいます。
陶陶は、「彼らは壊れたのではない。完全に消耗し尽くしたのだ」と指摘しています。
そしてこれは、特定の子どもだけの問題ではなく、3つの大きな圧力が重なった結果だと分析しています。
1つ目は、高校受験・大学受験による厳しい選別制度。
2つ目は、北京の中産階級家庭が抱える激しい階層不安。
3つ目が、現代社会が未成年に与えている宙吊り状態のような不安定さです。
4月28日には、広東省の政府系メディア「21財経」が、「10%に達する休学率 海淀区の母親たちは『降参』したのか?」という記事を掲載しました。記事では、中国全土、特に一線都市の小中学生の休学率が急増している現状が紹介され、北京市海淀区の深刻な状況にも触れています。
公式統計では、海淀区の休学率は約0.6%とされています。しかし実態は、はるかに深刻だといいます。2023年には、海淀区だけで、心理問題を理由に休学した生徒が2000人を超えていました。さらに、ある重点中学では、中高生の休学率が10%に達しているという話も出ています。
中国メディア「網易新聞」も今年1月、民間系の心理教育・家庭教育団体「守仁心学苑」がネットデータや『2024年教育システムメンタルヘルス白書』をもとに調査した内容を報じました。その分析によると、2024年から2025年にかけて、中国の小中学生の休学率は5年前より240%増加しています。情緒障害関連の休学が約67%を占め、小学生の「学校嫌い」はわずか3年で40%も増加していました。
さらに衝撃的なのは、この20年間で、小中学生の学校嫌いの割合が73.3%に達していることです。 記事では、かつて休学は、重病や事故など極端な事情でしか選ばれない最後の手段だったと指摘しています。
しかし今では、心理的ストレス、学業疲れ、将来への迷いによって学校を離れる子どもが急増し、休学が静かに学校社会へ広がっているといいます。その背景には、現代の子どもたちが抱える複雑で重い生存環境があると分析されています。
また、上海では、ある保護者が休学手続きのため学校を訪れた際、教員室には疲れ切った表情の親たちが並んでいたといいます。
どの親も似たような「診断書」を握っており、「この子はこれ以上学校生活を続けるのに適していないため、自宅療養が必要」と書かれていたそうです。
「守仁心学苑」の不完全統計によれば、上海のうつ病発症率は11.8%で、全国ワーストとなっています。
しかも深刻なのは、小中学生だけではありません。
中国科学院心理研究所の調査によると、高校生では、うつ症状が確認された割合が4割近くに達しており、そのうち重度うつは10.9%〜12.5%だったとされています。今、中国のネット上では、「休学」という言葉自体が大きな社会問題として広がっています。
あるショート動画プラットフォームでは、「休学」に関する話題の再生回数が32億回を突破。「休学」というキーワードの月間検索数は約180万回、1日平均でも6万回検索されているといいます。
これに対し、Xでは多くのネットユーザーがコメントを寄せています。
「寝そべるのは、子どもたちの自己防衛なんだ。そうしないと追い詰められてしまう。中国みたいな専制社会では、無理を続ければ本当に周囲に追い込まれてしまう。そこには親も含まれている」
「中国には教育なんてない。ただの訓練だ。それも組織的な虐待型教育だ」
「多くの地域で同じ状況だ。学校に残っている子たちの中にも、ADHD、いわゆる多動症の薬や、精神科の薬を飲んでいる子がかなりいる」
「本来は社会問題なのに、それを精神医療で処理しようとしている。本当の問題から目を背けているだけだ」
「巨大な監獄のような社会で、中身のない儒教や仏教の建前文化、さらに共産党の戦狼思想が広がっている。これでうつにならない方がおかしい」
元江西省の教師・翟徳雲(さい・とくうん)は、海外メディア「菁英論壇」で、中国の小中学生が抱える学習ストレスは世界最悪レベルだと語っています。
その大きな原因の1つが、中国の学校教育制度そのものにあると指摘しています。
学校では、生徒を評価によって細かくランク分けします。その結果、成績が振るわない子どもや、特定科目が苦手な子どもたちは、知らないうちに「劣った存在」として扱われる空気が生まれてしまうといいます。
こうした心理的な冷たい圧力、同級生からの嘲笑、教師からの無視は、ほぼすべての子どもに浸透していると翟氏は語ります。特に中学生は、心身ともに不安定な成長期にあり、変化の激しい多方面からの圧力に耐えるのは非常に難しいといいます。つまり、この階級制度によって形成されるプレッシャーこそが、子どもたちにとって最大のストレス源になっているというのです。
翟教師は次のように語っています。「子どもの成績だけで、その子が努力しているかどうかを判断するべきではない。しかし中国では、良い学校へ行けなければ未来がないという価値観が社会全体に深く浸透している。多くの親たち自身も、その体制の中で生きているため、その基準そのものが間違っていることに気づけないのだ」
(翻訳・藍彧)
